公共放送のあり方を考える市民団体(※)が、きょう、NHK放送センターを訪れ、籾井勝人会長と長谷川三千子経営委員の罷免を求める7万3,904人の署名を提出した。
「政府が右と言っているものを左というわけにはいかない」「戦争をしているどこの国にも(従軍慰安婦は)あった」(昨年1月、就任記者会見)
「(村山談話は)今のところいいと思う。将来のことはわからない。当時と政権が代わって村山談話は要らないというかもしれない」(2月18日、民主党の総務・内閣部門会議)
国民の受信料によって成り立つ公共放送の最高責任者にあるまじき発言が相次ぐ籾井勝人会長。安倍政権ベッタリの発言が目立つのは別に驚くことではない。
NHKの会長はNHK経営委員会が任免するのだが、経営委員会の委員を任命するのは内閣総理大臣だ。要するに首相の息がかからないNHK会長はありえないのである。
NHK関係者によると周囲が籾井会長を批判すればするほど、安倍首相は依怙地になって籾井会長を守るのだそうだ。
放送センターを訪れ籾井会長らの罷免要求を提出した市民団体は、夕方、参院会館で集会を開いた。
「放送を語る会」は籾井会長就任後の『ニュースウォッチ9』をモニター報告した―
「集団的自衛権行使の閣議決定」に関する ニュースでは、「全国の反対運動をほとんど無視して伝えていない」「政府与党の主張の紹介が放送全体の7割を占めている」。
従軍慰安婦問題をめぐっては、安倍カラーがさらに徹底している―
2001年当時官房副長官だった安倍晋三氏は、戦時性暴力をテーマにしたETVの番組内容に直接介入したと言われている。
91年から96年までの5年間で8本の従軍慰安婦問題番組を手がけた池田恵理子・元ディレクター(現・女たちの戦争平和資料館館長)は、古巣の実態を次のように明かす―
「従軍慰安婦の資料がいっぱい出てきて、兵士の証言もたくさん発掘されたのに向き合えない。(後輩の)若手ディレクターがどうしたら(従軍慰安婦の番組を)作れるか、こっそり相談に来る」。
集団的自衛権の行使といい、従軍慰安婦問題といい、安倍氏がこだわるテーマになるほど、安倍氏の意向を忖度して放送しなければならなくなっていることは確かなようだ。
特に従軍慰安婦問題をめぐっては放送現場への弾圧と言っても過言ではない。この国最大にして最も影響力のあるメディアが、歴史を曲げた時、国民は未来を見誤る。
大本営発表を垂れ流していた戦時中にNHKを戻してはならない。
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NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/NHK問題大阪連絡会/NHK問題京都連絡会/NHK問題を考える会(兵庫)/「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)/日本ジャーナリスト会議/放送を語る会。