
「市民には冷静な対応を期待する」と話すマリウポリ市当局者(手前)。隣はウクライナ軍広報担当者。=14日、クライシス・メディアセンター 写真:筆者=
「欧米の砦」が風雲急を告げているようだ―
マリウポリ市当局者は14日、クライシス・メディアセンターの記者会見で、「緊急時の訓練放送を昨日(13日)、行った」と明らかにした。
当局者は「親露勢力」「砲撃」などの言葉は用いなかったが、状況からしてマリウポリが危うくなった場合の情報伝達訓練であることは明らかだ。
緊急時の訓練放送が行われたのは初めて。訓練はTVとラジオで行われた。通常放送がすぐに中断できるかなど技術的な点をチェックした。
親露勢力はマリウポリ市の東30㎞の街をすでに落としている。ウクライナ軍は東に15kmの地点に前線を築き、戦車などを配備した。この前線近くにも親露勢力からの砲撃がある。

‘I love Mariupol’ 行政当局がつい2~3日前に掲げた看板。不安に苛まれるマリウポリ市民を鼓舞しているようだ。=14日、レーニン通り 写真:筆者=
一方、民兵組織・アゾフ連隊のビレッキ司令官は地元テレビ番組で「ロシアの本格攻撃は3~5か月後になるだろう」との見通しを示した。
司令官は「ロシア軍がウクライナに侵入しているのは、この作戦(本格攻撃)に備えてのものだ」と説明した。
民兵組織の地下情報は侮れない。行政当局も緊急放送訓練を始めた。
ロシア軍の本格攻撃が開始されれば、ウクライナの「西ベルリン」は、遅かれ早かれロシアの手に落ちる。