針金芸でおなじみの「おしどり」が都内で開いた個展はきょう、好評のうち幕を閉じた。
夫婦漫才の「おしどり」(吉本興業所属)は、芸人の他にもう一つの顔を持つ。原発問題を追及するジャーナリストだ。3年半前から続く東電の記者会見に毎回のように出席し、厳しい質問を浴びせることで有名だ。福島の被災現場を丹念に歩くことでも知られている。
浅草の寄席でも客から「原発(ネタを)!」とお声がかかるほどだ。
15日から5日間にわたって個展を開いた下北沢のギャラリーには、50点余りの針金アートが並ぶ。『DAYS JAPAN』に連載中のコラムの挿絵に用いた針金アートに新作を加えた。
マコさんがモチーフを考え、ケンさんが針金を曲げた。
がぜん人目を引くのが実物の20分の1の格納容器(写真)だ。メルトダウンした東電福島第一原発1号機がモデルになっている。ケンさんによれば、タイベックが格納容器の中に入っているのは「人間が原発の犠牲になっている」ことを表す。
「汚染水の中を歩く作業員」(作品)は、原発と切っても切り離せない被曝労働の残酷さが伝わってくる。
2013年3月、復旧作業中の福島第一原発で配電盤にネズミが侵入し冷却設備が停電で停止する事故があった。「感電したネズミ」(作品)はコミカルでさえある。
作品には漫才師ならではのユーモアが にじみ出て いて、観る者はついつい引き込まれてしまう。
原発問題の他にも安倍首相、オバマ大統領、香港の傘革命などもあり、ジャーナリストらしい社会的広がりを感じさせる。
ギャラリーの場所が下北沢ということもあり、原発には興味のない若者がフラフラと見物に入ってくることもあった。
「ハードコアですね」と驚いていたそうだ。