労働者を死ぬまで酷使する「ブラック企業」。今年、その頂点に立ったのは「ヤマダ電機」だった。
非正規労働者達で作る労働組合の事務局長や労働問題に詳しいジャーナリストなどで作る「ブラック企業大賞・実行委員会」が、毎年選ぶ「ブラック企業大賞」は、今年で3回目となった。
昨年の大賞は、「24時間365日、死ぬまで働け」の「ワタミ」だった。
今年「ヤマダ電機」が「ブラック企業大賞」に選ばれた理由は、やはり過労死だ―
日本最大の家電量販店であるヤマダ電機は、07年に23歳の管理職青年Aさんを過労自殺に追い込んだ。労災認定されたAさんの死亡直前の残業時間は月106時間を超えた。
04年には上司から罵倒されて自殺した契約社員がおり、昨年には架空売り上げを計上した店長が自殺に追い込まれている。
無理な出店計画と過重労働、ブラックな社風で社員の犠牲が後を絶たないヤマダ電機。自殺した2ケースはいずれも遺族が損害賠償を求めて訴訟を起こしているが、会社側は訴えを全面的に否定している。
週刊誌報道によれば全国600余店舗のうち、過労死ライン(月の残業時間が80時間を超過)を超えた店長が46人もいるという。
今年ノミネートされたブラック企業は11社。
・大庄 (居酒屋チェーン「日本海庄や」)
・JR西日本
・ヤマダ電機
・A-1 Pictures
・正智深谷高等学校、株式会社 イスト
・たかの友梨ビューティークリニック
・ゼンショーホールディングス(すき家)
・タマホーム
・東京都議会
・リコー
・秋田書店
きょう午後、都内で開かれた授賞式で首都圏青年ユニオンの河添誠・事務局長は「ノミネートされた11社はいずれもひどい会社。どれが大賞を取ってもおかしくない」と喝破した。
程度の差こそあれ、日本の会社の多くはブラック企業だ。だからと言って放置したままにしておくと日本の社会全体がブラックになる。
労働行政の最高責任者である塩崎恭也・厚労相は、第1次安倍内閣の官房長官だった頃、「ホワイトカラー・エグゼンプション」なる残業代ゼロ制度をブチ上げたことがある。
安倍政権が目指す「世界一企業が活動しやすい国」とは「世界一労働者を酷使する国」であることを胆に銘じなければならない。
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