原発の運転差し止めや原発輸出の禁止を求めて裁判を闘っている全国各地の原告団が、連絡会を作ろうと呼びかけている。情報を共有することで裁判闘争を有利に進めるのが狙いだ。
全国連絡会の準備会がきょう参院会館で記者会見を開いた。
記者会見に出席したのはすでに全国連絡会への参加を表明している9団体(※)11人。東京電力を傷害致死で刑事告訴した福島住民の原告団も参加しており、原発問題の裾野の広さがうかがえる。
九電・玄海原発の運転差し止め訴訟原告団の蔦川正義さんは、これまでの孤独な闘いを振り返った―
「原発については、九州でも苦い思いがある。1980年ごろ(九電が)玄海2号機、3号機を作ろうという時、私は当時佐賀大学に赴任したばかりだった。原発ができて万一事故が起きた時に避難計画はどうなるだろう、と佐賀県庁に出かけた。県の担当者は私をつくづく見て『こいつ、ばかじゃなかろうか。原発で事故が起きて、放射性物質が外に飛び出るようなことをお前は想定しているのか?』というような質問をされた」
「玄海原発は偏西風に乗ったら日本中を汚すから、絶対に九州で再稼動することはならんということも含めて呼びかけてきた…(中略)少人数の訴訟でもいろいろ創意工夫しているところもあるが、原告団(連絡会)として学びあうことが大切だと思っている)
「自分のところの問題をタコツボ的に考えるのでなく、国民的に、世界人類の問題なんだぞ、ということを呼びかけるためにも、ぜひとも広大な原告団の力を結集したい」。
一足先に横のつながりを作った脱原発弁護団・全国連絡会の河合弘之共同代表は祝辞を述べた―
「脱原発弁護団全国連絡会ができてからはITを使い、カット・アンド・ペーストで訴状も準備書面もできるようになった。情報の共有ができるようになった」
「その成果が5月21日に出た福井地裁の判決だ。あそこで闘った弁護士はほとんど若い、原発訴訟の経験もない弁護士だが、いままでの蓄積を利用して戦って、いい裁判官に当たった」
「原告団が相互扶助、情報共有、運動の連帯をやらない手はない。それがついにできたということで意味がある団体の結成だと思う」。
「脱原発原告団・全国連絡会」には、約20団体、原告3万人が結集するものと見られている。電力会社(労組も含む)、経産省、永田町にとって手強い相手が誕生したようだ。
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泊原発の廃炉をめざす会
原発なくそう!九州玄海訴訟・久留米原告団
東海第2原発差止訴訟原告団
脱原発弁護団全国連絡会
福島原発告訴団
東電株主訴訟
原発メーカー訴訟の会
さようなら原発1000万人署名市民の会