東電・福島原発がまき散らす放射能から逃れた人々が暮らす仮設住宅、雇用促進住宅、公営住宅――
原発事故収束のメドはついていないにもかかわらず、無償供与は期限を迎えようしている。すでに無償供与が打ち切りになった住宅もあり、入居者は不安な毎日を送る。
『原発事故被災者の住宅確保を求める』集会がきょう、参院会館で開かれた。(主催:原発事故子ども・被災者支援法ネットワーク)
原発事故後間もなく福島県白河市から大阪府茨木市に避難した男性は同市の市営住宅で暮らす。最近、市役所の担当課長がやって来て男性にこう言った。「単身者が公営住宅に住むのはふさわしくない」。
男性は「課長が遠回しに『出て行け』と言っているようにしか受け取れなかった」と話す。課長はさらに「あなた、義援金をもらっているでしょう」「避難費用をもらっているでしょう」と暴言を吐いたという。
男性が住んでいた白河市は、政府指定の避難区域ではない。義援金も避難費用も出ない地域だ。行政に携わっていれば知っているはずである。役所は財政負担を嫌うあまり「追い立て屋」も同然になっているのだ。
避難者住宅制度の複雑さが、入居者(避難者)をさらに不安にさせる。避難者用住宅には大きく分けて次の3通りがある。
A:災害救助法の適用を受ける応急仮設住宅
B:災害救助法の適用外となる「雇用促進住宅」
C:災害救助法の適用外となる「公営住宅への一時入居」
「A:応急仮設住宅」の無償供与の期限はこれまで2回延長されたが、来年3月末以降の延長はメドが立っていない。
「B:雇用促進住宅」と「C:公営住宅」は雇用支援機構と自治体の判断によってマチマチだ。すでに無償供与が打ち切られた所もある。入居者が不安にかられるのも当然だ。
三春町から子供を連れて避難し、現在、西東京市の雇用促進住宅に住む女性が ひどい 実情を明かした―
「避難者に打ち切りを通告する手紙が届いた。自分は福島県の自主避難者ということで来年3月までの延長が適用されたが、被災3県以外の自主避難者は今年3月をもって打ち切りますという書類だった。現実に打ち切られた方が本当にいる。『次は我が家』という思いで去年10月にこの(打ち切り)書類を受け取った覚えがある」。
避難者はやはり住宅制度の複雑さにあえいでいた。女性の話から ひしひし と伝わってきた―
「住宅の支援が徐々に打ち切られようとしているが、自分自身も、雇用促進住宅がどういう支援の枠組みの中でどの法律が適用され、そこに住んでいるのか全く分からない。枠組みが明確化しない中で打ち切りがどんどん進んでいくということがある。災害対策法の法律の枠組みをもう一度見直し、住宅の延長をして頂けたらと思う」。
「子どもは成長する。また学校を転校させられるのか、福島に帰ってまた生活を続けていけるのか考えると、母親としては不安な気持ちでいっぱいだ。避難を継続したい人、子どもの成長の分岐点に合わせて避難住宅の無償提供がされること、不安を残すことなくきちんと整えられた形で継続延長していただけることを切に願っている」。
「どんな枠組みの中で国や東電に訴えていけるのか、私たちには分からない。皆様のお知恵を貸してほしい」。
原発事故の責任を最小限度しか取ろうとしない国や東電。巨大すぎる相手に住民は泣き寝入りするしかないのだろうか。女性は懸命に助けを求めているようだった。