安倍首相の私的諮問機関である「安保法制懇」は、今週中にも集団的自衛権の行使を容認する報告書を出す。昨年末の特定秘密保護法に続く安倍政権の暴挙だ。
「日本を戦争ができる国にしてはならない」。憲法9条の解釈改憲に反対する人々がきょう、国会議事堂を人間の鎖で包囲した。(主催:解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会)
「戦争するな 憲法守れ 安倍は辞めろ」と手書きしたプラカードを持っているのは神奈川県藤沢市から訪れた男性(50代・農業ボランティア)だ。
男性は同様のメッセージを書いた抗議のFAXを毎朝、地元選出の自民党議員と公明党議員の事務所に送りつける。
「憲法9条を壊すな」のプラカードを持つ女性は昭和9年生まれだ。満州で終戦を迎え、命からがら日本に引き揚げてきた。日本に着くまで2年かかった。
「絶対あの時代に戻してはいけない。孫を戦争に送るようなことは絶対させない」「戦争の悲惨さを知る世代が少なくなってきた。私のような戦前の人間が一人でも参加することに意義がある」。女性は力を込めた。
マスコミの世論調査もヘンだ。設問が「集団的自衛権を使えるようにすべきか?」なのだ(12日付け読売新聞)。
安倍政権が正々堂々と憲法9条の改憲を世に問うのであれば、そうした設問もあるだろう。だが「解釈で憲法を変える」ことには触れていない。最も重大な問題点は隠したままなのである。
安倍政権は「国際情勢上、安全保障の環境が変わった」として「集団的自衛権の行使容認」を説く。マスコミは中国の脅威をことさらに強調する。世論誘導だ。
このままいけば来年あたり「自衛隊の名称を国防軍に変更する」法案が出てくるだろう。出てきてもおかしくない政治、メディア情勢だ。