自分たちの勝手な憲法解釈で集団的自衛権の行使に道を開こうとする安倍政権。「このままでは憲法も民主主義もダメになる」-危機感を抱く憲法学者や政治学者たちが立ち上がった。
「憲法に基づく政治を取り戻そう」。著名な学者約50人がきょう、「立憲デモクラシーの会」を設立した。(共同代表:奥平康弘・東京大学名誉教授/山口二郎・法政大学教授)
同会は衆院議員会館で午後、設立の記者会見を行った。登壇した9人の学者は自らの学問領域を否定するような安倍政権に怒りを表明した。
口火を切ったのは奥平共同代表だ。「政権に異議申し立てをしてこなかったことを改める必要がある。インテレクチャル(知識層)が異議申し立てをしようじゃないか」。
もう一人の共同代表である山口二郎氏が続いた。「政治の世界では何もできないが、知的な世界では対抗勢力になりうる。集団的自衛権の容認に知恵を提供する『安保法制懇』の対抗軸にならなければならない」。
立教大学の西谷修教授(思想史)は「戦争とメディア」と題して次のように話した―「メディアがアンダーコントロール、情報がアンダーコントロールの状態にあるかもしれない。私たちは別の現実を知らされているかもしれない」。
軽減税率などをエサに安倍官邸はメディアを使って情報操作し、国民に真実を知らせていない、という意味だ。西谷教授は「気が付いたある時、戦争の中にいる」とも語った。
昨年末、特定秘密保護法ができた時も今回と同じような雰囲気だった。学者や法律家が異論を唱えた。世論調査でも反対が50%以上を占めた。それでも国会で可決・成立した。数の力だ。
「立憲デモクラシー」は今後シンポジウムを開くなどして世論に訴える活動を展開するとしている。だが、それだけで安倍政権の暴走に歯止めがかかるのだろうか。