都知事選立候補の記者会見を2度に渡って延期し支持者をやきもきさせていた細川護煕元首相が、選挙事務所を平河町に構えた。ビルの一階、広さ80㎡余り。ビルにはかつての自民党の派閥領袖も事務所を構える。自民党本部も目と鼻の先だ。
きょう午後、パイプ椅子やコピー機などが運び込まれた。トラメガや旗竿といった選挙の七つ道具の一部は朝の時点ですでに事務所にあった。だが肝心のポスターは午後になっても持ち込まれなかった。
政策が煮詰まっていないこともあり、印刷が遅れているのだろうか。「原発即ゼロ」と刷り込むのか。
「即」だと財界が嫌う。かといって明確に打ち出さねば「脱原発」を願う市民の票を取りこめない。「原発に頼らない社会を東京から」などと言った差し障りのないフレーズにするのだろうか。
広範なネットワークを持つ著名な環境団体が、「細川支持」をすでに表明している。細川陣営が原発政策を曖昧にすると「脱原発勝手連」も動きが鈍くなる。何より応援団長の小泉元首相が、許すはずがない。
細川陣営は保守票の取り込みも図る。自民党支持者に根強くある「舛添嫌い」は、常識的に考えれば細川氏へと流れるだろう。保守票の受け皿にもなりたい細川陣営が「原発即ゼロ」をきっぱりと宣言できるだろうか。
脱原発をどこまで鮮明にするのか。細川氏にとって悩ましい選挙戦となりそうだ。