エルドアン首相の辞任を求める「タクシム結束プラットホーム」は、日本時間の16日午後10時に広場に集まるようTwitterなどで呼びかけた。だが、タクシム広場は警察がすべての入り口を固め、ひとっ子ひとり入れないようにした。広場封鎖だ。
プラットホームのメンバーや呼びかけに応えた数百人が、広場南口につながるスラセルビデル通りで機動隊とニラミ合いになった。
2時間も経たぬ頃だった。警察は催涙弾を撃ち始め、放水車でオレンジ色の液体を浴びせ始めた。
若者たちは後退し、機動隊は放水車を押し立てて前に進む。若者たちは碁盤の目のような街のあちこちにバリケードを作り応戦した。
「ヘル イェル タクシム、ヘル イェル ディレニシユ=どこでもタクシム、どこでも抵抗」。若者たちは“新たな前線”でシュプレヒコールを上げた。だが、すぐに催涙弾が打ち込まれ、放水を浴びせられる。
機動隊は路地裏にまで突進してきて催涙弾を水平撃ちした。催涙ガスを放つ金属製の筒は、当たり所が悪ければ命を落とす。悪くなくても体に当たれば大ケガをする。
道路は機動隊の放水でオレンジ色に染まった。催涙ガスが立ち込め鼻とノドの奥が痛い。果物屋のオヤジは店頭のスイカやアメリカンチェリーを奥にしまい込んだ後、路上にツバを吐いた。予期せぬ戦域の拡大に腹立たしくて仕方がないのだろう。
路地裏に追い詰められた若者たちは民家に駆け込む。家人は「入れ入れ」と手招きした。彼らはここで休憩をとり再び出撃した。ゲリラ戦に必要不可欠な“後背地”が街にあるのだ。ゲリラ戦になれば長い戦いになる。
「ドン、ドーン」催涙弾が連続して弾ける大きな音が、遠く離れた地区からも聞こえてきた。
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関西の篤志家S様ならびに読者の皆様のご支援により、トルコ取材に来ております。