未明まで警察とオキュパイの人々との激しい攻防が続いたタクシム広場―
機動隊の部隊が一部残っているが、ウソのように静かだ。警察がブルドーザーで平らげたため戦いの跡は影も形もない。
雨のなかトルコ国旗を掲げてたたずむ男性がいた。ムスタファさん(元エンジニア・60代)。イスタンブール郊外に住むムスタファさんは「警察の武力鎮圧に抗議するため駆け付けた」。
「機動隊は自らの意志で武力鎮圧したんじゃない。命令したのは政府だ。タイイップ(エルドアン首相)はもはや政治家ではない。独裁者だ」。ムスタファさんは憤った。
ムスタファさんの後ろにはアタチュルク像が立ち広場を見下ろす。「アタチュルクは国民を傷つけるようなことはしなかった」。彼は無念そうに語った。
広場に隣接するゲジ公園のテントは、数は少し減ったが健在だ。オキュパイの人々の多くは、一昼夜の戦いで疲れ果てており、泥のように眠っていた。それでも目を覚ましてくれた男子学生は「まだ戦う。タイイップが辞めるまでここを動かない」とキッパリ言った。
仕事を終えて広場に駆け付ける人々を、警察といえども止めることはできない。ゲジ公園には種火が残った。エルドアン首相が辞任するまで火は燃え続けるだろう。
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関西の篤志家S様ならびに読者の皆様のご支援により、トルコ取材に来ております。