小沢一郎議員の秘書が国策捜査により政治資金規正法違反の罪に問われている陸山会事件の控訴審判決が、来週水曜日(13日)に言い渡される。「小沢政治裁判」とも言われる冤罪事件を総括する集会が今夕、都内で開かれた。
政治資金規正法の罪に問われているのは、大久保隆規被告、石川知裕被告ら。石川氏は現在、衆院議員。
起訴状などによると石川秘書(当時)と大久保秘書は2004年に小沢氏名義で土地を購入した際、その年の収支報告書に記載せず、翌年に記載した。これが虚偽記載にあたるとして政治資金規正法違反に罪に問われた。「期ズレ」を突かれたのである。
ある国会議員秘書は「これ(期ズレ)でやられたら秘書は皆やられる」と話す。収支報告書は公開されるため、あれこれと詮索される。親分(議員)は痛くもない腹を探られることとなる。そうならないようにするため、子分(秘書)は小口に分けて収支報告書に記載したりするという。
検察が当初描いたストーリーは――
2004年は胆沢ダム(岩手県)建設の入札時期と重なっていた。岩手県の公共工事発注に影響力を持っていた小沢氏が、口利きの謝礼として1億円を水谷建設に要求し、受領したとしている。石川秘書と大久保秘書は、これを隠すために2004年の収支報告に記載しなかった。しかし贈収賄の立件は見送りとなった。
読者諸氏もご存知のように小沢氏は検察審査会により強制起訴されたが、昨年11月無罪が確定した。
豊島公会堂(池袋)で開かれた集会には、国会議員(前議員含む)はじめ元検事、民族派右翼などが出席した。取り調べの可視化に奮闘した辻恵前衆院議員、検察の裏金を暴露し逮捕、起訴された三井環・元大阪高検検事……検察にとっては煙たい人物が並んだ。
辻前議員は「財務官僚、検察法務官僚の高笑いが聞こえる。これをひっくり返さなければケジメがつかない」と力を込めた。
三井元検事は陸山会事件をめぐる検察の裏事情を明かす―
「大久保秘書が逮捕された(2009年3月)のは、解散総選挙がいつあってもおかしくない時期だった。検察は不文律として、こういう時期に(政治家や秘書を)逮捕しない。逮捕は検察の意志ではない。(政権交代を阻止したかった)麻生政権が検察を利用して逮捕させたものだ…(後略)」。
冤罪に苦しめられた小沢氏は声を振り絞るようにして訴えた―
「政治家が検察の鼻息をうかがいながら行動するようになっている。今回の事件を私一人の問題に終わらせたくない。検察ににらまれたら政治家だけでなく経済人も企業家も皆抹殺されてしまう。こんな姿は国民の皆さんも望んではいない。民主主義の手続きによってこれを変えなければならない…」
厚労省の局長が逮捕、起訴された郵便不正事件のような冤罪を繰り返してはならないと、検察改革のための委員会が立ち上がったりもした。だが、改革につながる成果は何ひとつあがっていない。