大阪では昨年9月から原発再稼働や瓦礫焼却の反対運動に参加した市民が続々逮捕される事態が起きている。その数11名。うち6名は今なお勾留中だ。
警察が「こいつだ」と狙いを定めた人物の身柄を拘束するケースが目立つ。大阪版「平成の大獄」と呼んでもよいほどだ。大阪城公園できょう、警察による弾圧に抗議する集会・デモが行われた(主催:関西大弾圧はねかえそう! 2・3全国集会実行委員会)。約1,000人の市民が参加した(主催者発表)。
逮捕された当事者や目撃者に当時のもようを聞いた――
モジモジ先生こと下地真樹・阪南大学准教授は昨年10月17日、JR大阪駅前で「瓦礫焼却に反対するアピール」をした後、仲間たちと共に大阪駅構内を歩いた。
それから2ヵ月後、公安の刑事が逮捕令状を手に突然下地氏の自宅に押しかけてきた。駅を歩いて通過したのが、威力業務妨害罪と不退去罪にあたるというのだ。
警察発表を受けた産経新聞の報道はこうだ――
東日本大震災で発生したがれきの受け入れに抗議するデモ行進をJR大阪駅構内で無断で行い、駅側の警告に応じなかったとして、大阪府警警備部などは9日、威力業務妨害と不退去の容疑で、阪南大准教授の下地真樹容疑者(40)=大阪市西区新町=ら2人を逮捕した。下地容疑者は黙秘しているという。
府警によると、下地容疑者らはハンドマイクを手に演説をしながら約40人の参加者を先導。構内を約250メートルにわたり行進した。逮捕容疑は10月17日午後2時40分ごろから約1時間半にわたり、JR大阪駅(大阪市北区)で「がれき反対」とシュプレヒコールを上げながら練り歩いたり、ビラを配布したりして駅側の業務を妨害したとしている。-産経新聞引用ここまで。
だが、下地氏本人に聞くとそうではないようだ―「 JRの駅員が我々の傍についていた。警察の差し金だと分かっていたので“しょうもない仕事をさせられて大変だねえ”とねぎらいの言葉をかけただけ。シュプレヒコールもあげていない。デモ行進もしていない。私は少し遅れて歩いていたから」。
8月末に行われた大阪市の「瓦礫受け入れ説明会」で市当局をグウの音も出ないまでに追及した下地氏は、警察に目をつけられるハメになった。これが1番目の伏線だ。街頭演説の際も警察から「逮捕するぞ」と脅されていたと明かす。
2番目の伏線は11月13日、此花区民センターでの「説明会」だ。瓦礫受け入れ反対運動のリーダー格など4人が警察に逮捕された。下地氏も現場に居合わせたが、辛くも難を逃れた。
それから4日後、JR大阪駅から被害届けが出た。警察が「出させた」と言った方が正しいだろう。警察は何としてでも下地氏を逮捕したかったのである。
「警察を許す気もない」。下地氏は奥歯を噛みしめるようにして言う。 ~つづく~
《文・田中龍作 / 諏訪都》