「原発事故の風化」に抗議して栃木県の椎茸農家の男性が今夕から東電前で無期限のハンストに入った。
ハンガーストライキを始めたのは、栃木県那須塩原市で原木椎茸を栽培する人見仁さん(43歳)。
那須塩原の椎茸は東電福島第一原発の爆発事故により放射能汚染されたため、去年2月から出荷停止となっている。人見さんは毎年原木3,000本に椎茸を着床させて栽培していた。
だが栃木県の原木が汚染されたため、人見さんは椎茸栽培自体が出来なくなった。
「東電と補償交渉すると“農協を通して下さい”“自治体を通して下さい”といった趣旨の回答が返ってくるだけ」。人見さんは無念そうに語る。
だが人見さんが本当に怒っているのは東電に対してではない。行政に対してでもない。人見さんが憂い怒っているのは、原発事故の風化だ。
「原発事故への関心はかつての盛り上がりを欠く。ふるさとに帰れない人が
たくさんいる。自らの命を絶った人も」。このところのマスコミ報道を見る限り、人見さんの言う通りだ。筆者も後ろめたさを禁じ得なかった。
「僕の(苛酷な)ハンストを通じて、多くの人々が福島の人たちの苦しみに心を寄せてくれれば…」。人見さんはハンストを決行した理由を明かした。
人見さんは水分も塩分も摂らないつもりだ。深夜は新橋のビルで体を横たえることもある、という。妻と2人の子供(中学3年、小学5年)と母親(80歳)には「東電前で座り込みをしてくる」とだけ告げて出てきた。