北欧のリトアニアで10月、原発建設の是非を問う国民投票が行われた結果、ダブルスコアでNOが突き付けられた。にも拘らず、原発を輸出しようとしているのが日立だ。
マスコミを使って日本人の目はぼかせても、海外はしっかり見ている。世界屈指の原発メーカーである日立の本社前で今日、欧米から訪れた反原発活動家とアジアの環境活動家たちが「リトアニアへの原発輸出」に抗議した。
抗議の声をあげた欧米人は米国のポール・ガンター氏、ロシアのアンドレイ・オザロフスキー氏、オーストリアのライン・バート氏ら。彼らは「IAEA福島会議」に抗議するため来日していた。
抗議に参加した20人は、空に向けてそびえ立つような日立の本社ビル前に横断幕を広げた。「日立はリトアニアの意志を尊重せよ」とリトアニア語で書かれている。
「日立は原発輸出するな」「リトアニアへの原発輸出反対」…ビルの住人に届けとばかり声を上げた。
CMフレーズで有名な「HITACHI INSPIRE THE NEXT(日立は次を鼓舞する) 」をもじって「Hitachi Inspire the next Fukushima(日立は次の福島事故を鼓舞する)」とも合唱した。
ライン・バート氏は「オーストリアにはチェルノブイリ原発事故の影響で26年経った今もキノコが食べられないホットスポットがある。リトアニアとも近い。原発問題はヨーロッパ全体の問題だ」と話した。
日立は米ミシガン州のエリー湖岸に原発を建設するための許認可を求めている。ガンター氏は原子力規制委員会(NRC)に建設を認めないよう働きかける活動を展開中だ。
きょうの抗議活動には日立の社員も参加した。「日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 開発統括本部」のエンジニア、朴鐘碩(パク・ソンチョク)氏だ。昨年定年退職し、現在は嘱託社員である。
朴さんは日立の社長と会長宛てに「原発輸出を止めるよう」にと手紙を書いた。ナシのつぶてで返事は来ない、という。「日立製が日本の原発の半分を占めているのに、労働者が何も言わないのはおかしい」。朴さんは憤る。
世界原子力史上最悪の事態となった福島の原発事故後初の総選挙で、脱原発勢力は後退を余儀なくされた。だが、日本の原発政策を視る海外の目は厳しいことを忘れてはならない。