稼働する原発がゼロになるまであと6時間後に迫ったきょう夕方、経産省を「かんしょ踊り」の一行が包囲した。
「かんしょ踊り」は会津地方の盆踊りで、年貢の苛酷な取り立てに対する民衆の怒りが込められている。あまりの情念の強さにGHQが禁じようとした、というエピソードまであるほどだ。
もんぺに手甲姿の女性を先頭に、参加者たちは威勢の良い民謡に乗って拳を激しく突き上げた。怒りが経産省を頂点とする原子力村に向けられていることだけは間違いないようだ。
福島の女性は踊りに年期が入っているので一目で分かる。故郷を奪われた無念さが所作に表れていて、殺気さえ感じさせた。
福島県二本松市出身で現在東京都内に住む女性(50代)も、福島の盆踊りを懐かしみ足を運んだ。息子夫婦と両親を福島に残したままだ。
「(稼働する)原発がゼロになったからと言って、枝野経産大臣が言うように一瞬のことかもしれない。再稼働する気満々の推進派がいるので安心していない。これからも声をあげ続ける」。女性は穏やかな表情の中にも戦う決意をのぞかせた。
「子供の日」に原発のない社会をプレゼントしたい。親たちの願いを託した鯉のぼりが、原子力利権にまみれた霞ヶ関の空を泳いだ。
《文・諏訪 京/田中龍作》
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