「“31㎞だからガンは原発由来じゃない” なんて政府や東電に言わせない」

手書きの横断幕を持ち込んだ酪農家の吉沢正巳さん=右・青シャツ。(2日、明治公園。写真:筆者撮影)

手書きの横断幕を持ち込んだ酪農家の吉沢正巳さん=右・青シャツ。(2日、明治公園。写真:筆者撮影)


 東京・明治公園で2日、大がかりな「脱原発集会」が開かれた(主催:原発ゼロをめざす7・2緊急行動実行委員会)。

 東電福島第一原発の事故は発生から間もなく4か月となるが、収束のメドは一向につかない。そのうえ老朽化で危険性が指摘される玄海原発が再稼働に向けて動き出しそうな雲行きだ。国の安全対策、そして何より原発の存在に危機感を抱く人々で広い明治公園は埋め尽くされた。

 中央ステージに向かって最前列は福島の被災者たちが陣取った。いわき市からマイクロバスに乗って駆け付けた男性(医療機関勤務・30代)は次のように憤る。「(多くの人が)それでも福島で生きていかなくてはならない。政府は被曝者手帳を出せ。健康診断をちゃんとしろ。『31㎞だから(ガンは)原発由来じゃない』なんて政府や東電に言わせない」。

 浪江町の酪農家・吉沢正巳さんは“決死救命”と手書きした横断幕を持参した。吉沢さんは警戒区域内に300頭の牛を残して、二本松市に避難している。「牛の殺処分に同意するよう」政府から再三迫られているが拒否し続けている。「命がけで牛と人を救う覚悟だ」と目を吊り上げた。

ゼッケンには風力発電や地熱発電など自然エネルギーのイラストが。(写真:筆者撮影)

ゼッケンには風力発電や地熱発電など自然エネルギーのイラストが。(写真:筆者撮影)

 今回の事故では首都圏でも幾多の地点で高い放射線量が検出されている。東京や埼玉などで暮らす人の心配は尽きない。

 「原発はなくてもやっていける。原発は事故が起きると後で大変な思いをする。政府は隠さないで最初から(住民を)避難させるべきだった。子供のガンが心配」(埼玉・主婦=60代)。

 「原発はなくさなきゃいけない。政治家とマスコミのように一部の人だけが利益を得ただけ。関東地方でも何十年か後にガンが多発する可能性がある」(都内・会社員=30代女性)。

 「政府は時間をかけても自然エネルギーへの転換に舵を切るべきだ」(神奈川・年金生活者=60代後半男性)。

 「メルトスルーして地球環境を汚染するような危険物質を当たり前のように扱ってきた神経がわからない。原発をなくしても豊かに生きてゆく方法を模索していくしかない」(都内・会社員=20代・男性)。

 原発推進勢力であるマスコミの世論調査でも、今や「原発反対派」が大半を占める。にもかかわらず政府は原発の再稼働にやっきだ。玄海原発については地元玄海町長と佐賀県知事さえも前のめりである。「原発中毒」は深刻と言わざるを得ない。

 市民はすでに「原発中毒」から脱出しつつあることを為政者は早く気付くべきだろう。

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