“改革者潰し” 阿久根市は日本の縮図だった

既得権益を大蛇に喩えて改革を訴える竹原信一氏。(7日、東京・竹芝。写真:筆者撮影)。

既得権益を大蛇に喩えて改革を訴える竹原信一氏。(7日、東京・竹芝。写真:筆者撮影)。

 リコールに伴う出直し選挙で対立候補に惜敗した鹿児島県阿久根市の竹原信一・前市長が、来月1日告示、10日投開票の鹿児島県議会議員選挙に出馬する。7日都内で持たれた自由報道協会主催の記者会見で明らかにした。

 竹原氏は記者クラブ、議会、市職労と激しく対立したことで全国的に知られる人物だ。3者とも地方都市の特権階級である。敵に回せば大苦戦を強いられることは、元長野県知事の田中康夫氏の例を見れば明らかだ。

 阿久根市の財政を知って絶句した。税収18~20億円に対して市職員の人件費が22~23億円というのである。市民の平均年収は200万円に届かないが、市職員の平均年収は700万円。

 「税金を払っている方が貧しい生活を強いられて、税金で食わしてもらっている市役所の職員が豊かな生活をしている」(竹原前市長)。

 人口(23,679人)に対して議員定数(16人)も多過ぎる。建設会社を経営していた竹原氏から見れば、阿久根市政は明らかに経営感覚を欠いていた。異常な事態を改善すべく竹原市長(当時)は、議員定数の削減と公務員給与の減額を議会に諮ったが、相手にしてもらえなかった。世の批判を浴びることになった専決処分の背景である。

 高すぎる市職員の給与を自らのブログで公開したことから、市職労との対立は決定的なものとなった。

 特権階級の一角を占める記者クラブは「明日は我が身」と構え、議会と市職労の側についた。(その結果)「ウソばかり書かれるようになった」と竹原前市長は話す。

 「良心にのみに従って行動することができないのが公務員の世界。それを支えているのが記者クラブ」。竹原氏はこの日の会見でも記者クラブへの不信感を剝き出しにした。

 既得権益にメスを入れようとすれば検察と記者クラブが屠ろうとしてくる。竹原氏もあらぬ嫌疑で鹿児島地検の取り調べを受けた。

 国会議員定数の削減は一向に進まず、公務員給与の減額も手つかずに近い。検察と記者クラブににらまれたら政治生命は危機にさらされる。鈴木宗男氏、小沢一郎氏の例を挙げるまでもない。

 阿久根市も国政も、症状と病根は同じだ。官僚と記者クラブが改革者を潰す。阿久根市で起きていることは日本の縮図である。


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