ジャーナリストであれば誰でも記者会見に参加できる「日本自由報道記者クラブ協会(自由報道協会)・仮称」をフリーやネットメディアの記者らが27日、発足させた。
日本の国や地方の役所には「記者クラブ制度」があり情報を独占してきた。大手新聞社・テレビ局・通信社が大臣、首長の記者会見や政策の発表をひとり占めし、自分たちの報道によって初めて世に知らしめるというシステムである。
「自由報道協会」を立ち上げたのは10~20年以上も記者クラブによる排他的独占と戦ってきたフリージャーナリストの上杉隆氏やネット記者の神保哲生氏ら10数名。
「自由報道協会」の記念すべき第1回目記者会見のゲストは、小沢一郎・元民主党代表だった。小沢氏が新聞・テレビに叩かれるようになったのは、自民党幹事長時代(89年~91年)に誰でも入れるように記者会見をオープン化したことからだ。
「記者会見はサービスだ」と言った小沢幹事長(当時)の言葉を新聞・テレビは「小沢氏は『記者会見をしてやってるんだ』と言い放った」というような趣旨で伝えた。
小沢氏の真意は全く違う。「政治家の記者会見というものは、国民が等しく享受することができる公共のサービス」という意味なのである。
原宿のニコ生スタジオで27日開かれた記者会見で筆者は小沢氏に聞いた――
「小沢さんほど記者クラブメディアが作り出した悪役のイメージが国民の頭に刷り込まれた政治家は例がない。記者クラブをどう思うか?」。
小沢氏は一度息を吸い、吐き出すように答えた――
「会見する意味がない。こちらがいくら説明しても分かってくれない。FCCJ(日本海外特派員協会)ではお互いに意見が違っても『あなたはそう考えるのか』と理解してくれる。ところが(日本の記者クラブメディアは)片言隻句を捉えて悪く書きたてるだけ」。
この日の記者会見は、ビデオニュース・ドットコム、ニコニコ動画はじめ数々のフリーランスがライブでネット中継した。編集は一切なし。ありのままの「小沢一郎」を伝えたのである。
小沢氏には悪役でいてもらわねば不都合な記者クラブが、フリーのネット中継を排除するわけがここにある。
「自由報道協会」は記者クラブのような排他的なスタンスはとらない。27日の記者会見では大手メディアの「小沢番記者」達が会場の外で待った。
「自由報道協会」の受付スタッフは大手メディアの記者に次のように説明した。「記者会見のオープン化に向けて前向きな姿勢であることを示し、名刺を置いてお入り下さい。出席者の名前はウェブ上で公開することになっています」。
結局、記者クラブメディアからの出席者は一人としてなかった。彼らは公の場であるのにもかかわらず、顔や名前をさらすことを極端に嫌がる。何事も密室で決めるのがお好きなようだ。
「自由報道協会」は記者クラブのように情報を独占することなく、毎週ビッグなゲストを呼んで話を聞く。
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