就職難が招く大量の孤独死時代

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倉庫行きのバスを待つ日雇い派遣労働者の列。写真は本文と関係がありません。(JR西船橋駅そばで:筆者撮影)

 今春の大卒就職率は60・8%で昨年よりも7・6ポイントも低下した、という(文科省調べ)。5人に2人は就職していないことになる。驚くべき数字だ。

 今の御時世、新卒で就職しないと、後に職に就く時は非正規か派遣労働者というのが相場だ。毎年数十万人の大学新卒が不況で就職できない。あるいはしない。1991年のバブル崩壊から数えると不況は20年近くも続く。

 当然、非正規社員や派遣労働者はうなぎ上りに増える。彼らのほとんどは不安定雇用で働かざるを得ず、貧しい。こうしたワーキングプアは1,000万人以上にも上り、労働者人口の4分の1近くを占める。

 彼らにとって結婚なんて夢のまた夢だ。派遣会社のフルキャストから某コンビニエンス・ストアに派遣されていた男性Aさん(30代前半)を取材したことがある。「俺、結婚できないっすよ。稼ぎがないから」。こう話してくれた時の自嘲的な笑みが今だに忘れられない。

 男性は大学新卒者として外食産業に就職したが、労働条件が悪すぎたため2年足らずで会社を退職した。次にメーカーに転職したが、ここも労働条件がひどく、また辞めた。会社を移っても移っても、労働条件がまともなところはなく、たどり着いたのが派遣だった。

 3年も前のことになるが、墨田公園で行われていた大晦日の炊き出しに並んでいたBさん(男性・30代前半)もAさんと同じ道筋をたどっていた。

 Aさんの場合、同じ派遣でも毎日仕事があったが、Bさんは日雇い派遣だったため、仕事はあったりなかったりだ。年末年始は仕事にありつけない。ネットカフェの宿泊費にも事欠くようになり路上に弾き出されていた。

 学校を卒業して最初に就職する会社(組織)は人生を左右する。Aさん、Bさんのように結婚もできないワーキングプアは1,000万人以上もいるのである。彼らは歳を取れば、独居老人となる。

 政府が労働問題、とりわけ就職問題に本腰を入れなければ、半世紀後には大量の孤独死時代が到来する。

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