「民主党政権の10ヶ月」に審判を下す参議院選挙が24日、公示された。与党で過半数を維持するのか、過半数割れとなり「ねじれ」国会となるのかが焦点となる。(定数=242議席、非改選は与党=66議席、野党=55議席)。
ツートップの辞任を受けた菅政権の誕生で内閣支持率は一時V字回復した。それに浮かれて気が緩んだのか、経済に弱いはずの菅首相が「消費税増税」をブチ上げたこともあって支持率を大きく落とした。
JR新宿駅東口で民主党の小川敏夫候補(東京選挙区)は第一声をあげた。応援弁士に立った同党の仙石由人官房長官ら3人の衆院議員が立った。だが誰も消費税には触れなかった。「消費税」を選挙の争点にすると不利と見たためだろう。
新宿東口で有権者に聞いた――
「消費税は歓迎しないが民主党に入れる(投票する)」(50代・女性・パートタイマー)
「消費税は(選挙に)影響しない。民主党には期待してないが、自民党に戻るよりいいので民主党に入れる」(50代・男性・会社員)
「消費税には反対だが民主党に入れる。基本的なスタンスが庶民の立場に立っているから。自民党は企業の側に立っている」(40代・主婦)
「消費税は個人的には影響がないから気にならない。民主党に入れる。自民党に戻るよりいいから」(30代・男性・会社員)
民主党と国民新党で56議席以上確保すれば、与党でひき続き過半数を維持できる。だが国民新党と民主党は消費税や郵政改革をめぐって政策に隔たりがあり、連立解消もありうる。民主党最高幹部の現職閣僚は「選挙後は新しい連立の相手を探さなくてはならないかもしれない」ともらした。
菅政権を安定させるためには民主党単独で60議席以上得なくてはならないが、それは難しいとする見方がある。小沢氏が幹事長の座を退いたことのマイナス面が大きく出た場合だ。
労働組合や各種団体がかつてのような集票力を失いつつあるとはいえ、参院選はまだまだ組織の票がモノを言う。組織票の固め方を熟知し選挙を勝利に導いていた小沢前幹事長の不在は大きい。組織の締めあげ方、アメの与え方など微妙なサジ加減を心得ていた小沢氏が、その選挙戦術を発揮できない。
60議席という数字は前回(07年)の参院選で民主党が獲得した議席数だ。年金問題で有権者の激しい怒りが当時与党の自民党に向けられ、民主党への強い追い風が吹いた選挙だった。今回、失政による逆風は民主党の方にこそある。いま民主党が60議席取る政治・社会状況にあるだろうか。
菅政権は「支持率の高いうちに」と選挙に突っ込んだ。発足当初のご祝儀相場(支持率)はみるみる冷める、ということを考慮に入れずに。17日間に渡る選挙期間中に菅さんの口から失言などが飛び出せば、支持率はさらに下がるだろう。安定政権へのハードルは高い。
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