検察庁で仕事(事件)を割り振るのは次席検事だ。それぞれの検事の能力に応じて、事件発生の度に、A検事にこの事件、B検事にはあの事件と担当を決めるのである。
ある次席検事のお宅を訪ねるとビールを注いでくれながら面白い話を聞かせてくれた。 「(有名)歌手Sの姉は山口組ナンバー2の愛人」「許永中ってのはヤクザの用心棒が勤まるほどケンカが強いんだ」などなど。(古い話でスミマセン)
今となってはもっと興味深い話も飛び出した。「○○君(部下の検事)と■■君は、落とす所はちゃんと落としてくれるから、僕も安心してして仕事を任せることができたよ」。落とすとは犯行を認める供述が取れたという業界用語である。
起訴する以上、有罪を勝ち取らなければならない。次席検事も自分の将来に響くので、担当の割り振りも慎重になる。検察は失敗が許されない厳しい会社組織によく似ている。
ある一線の検事が自分の尊敬する検事正の話としてこんなことを語った。「ピントの外れたことを一所懸命やる男が組織には一番の困り者なんだ。手抜きをする男は叱りつければどうにかなる。だが真剣になって違うことをやる男は修正のしようがない」。
検事は、一途に仕事をするのだがドジばかりを繰り返す某社のC記者のことを評していたのである。C記者は検事が自室で事務官たちと翌日のガサ入れ(家宅捜索)の準備をしていたところをバッタリと入室してきた。家宅捜索のシンボルであるダンボール箱もちゃんとあった。にもかかわらずC記者は全く気づかなかった、というのだ。C記者はうだつが上がらぬまま、現在は閑職にいる。
検察はこの手の記者には口が裂けてもリークしない。すべてを説明しなければならず、それこそ公務員法違反となるからだ。
検察は一を聞いて十を知る、カンの良い記者にリークする。「○○の方向に行くと面白いことがあるよ」とか。
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体による土地取引事件で、東京地検特捜部からのリークが乱れ飛んでいるが、リークを受けているのはそこそこ有能な記者のはずだ。
有能な者同士で利用しあう。検察も大メディアも似たようなサラリーマン組織なのである。
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