日米首脳会議で踏み込めなかった沖縄基地問題

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「基地の県外・国外移設」などを訴えた沖縄県民大会(8日、普天間基地のある宜野湾市で。写真=筆者撮影)

 鳩山首相とオバマ大統領による日米首脳会談が13日持たれ、懸案となっている沖縄の基地問題が取り上げられたが、踏み込んだ議論とはならなかった。踏み込めなかったといった方が正確だろう。
 普天間基地の移設は沖縄の負担を軽減するためのSACO(沖縄施設・区域特別行動委員会)最終報告に盛り込まれたが、その後13年間、1ミリたりとも動かなかった。
 この間、米側はSACO合意したクリントン政権(民主党)からブッシュ政権(共和党)に変わり、世界政策を激変させた「9・11テロ」もあった。日本側は小泉政権の4年間を除けば年中行事のように首相が交代した。これほど目まぐるしく環境が変われば安全保障の根幹に関わる基地問題に本腰を入れて取り組めるわけがない。
 オバマ大統領が来日した13日夕方開かれた岡田外相の記者会見では、沖縄の基地問題に質問が集中した。外相が打ち出した「普天間と嘉手納との基地統合案」に地元が猛反発した経緯があるからだ。外相自身は15日に沖縄を訪問する。
 記者団からは「嘉手納統合案を検証し感触を得るための旅か?」など挑発的な質問も飛び出した。岡田氏は「予断を持って行くわけではない」と慎重な姿勢を示した。
 嘉手納は空軍が、普天間は海兵隊が使用する。両基地の統合は運用上、困難だといわれる。空軍と海兵隊とでは交信用電波の周波数域が違うからだ。平時ならともかく頻繁に離着陸する有事ともなれば大混乱をきたしかねない。嘉手納基地周辺の騒音被害も単純に言えば2倍となる。
 一方、米軍は「『普天間の移設』『辺野古新基地』『ガム移転』はパッケージである」(ゲーツ国防長官)との姿勢を変えない。
 普天間の移設とガム移転は、辺野古の基地建設のためには渡りに船だったと読むこともできる。沖縄本島北部には辺野古を起点として広大な海兵隊の訓練センターがある。その名も「Jungle Warfare Training Center」(写真下段)。
 強襲揚陸した海兵隊員がジャングル戦、山岳戦の訓練を実施するにはもってこいの地形だ。
 辺野古は揚陸ポイントとなる。実際10年以上も前、辺野古の浜に強襲揚陸ボートが上陸してくる現場を目撃したというジャーナリストもいる。
 総選挙で来沖した民主党の鳩山代表(当時)は、基地の県外・国外移設を訴えて支持を得た。辺野古基地の建設反対を訴えた候補者が4選挙区すべてで当選した。鳩山政権が背負う民意は、辺野古を譲りたくない米軍の戦略と真っ向から対立する。
 「沖縄基地問題は畢竟日米関係」。言い古された表現を今さらのように思い知らされる。
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「Jungle Warfare Training Center」(沖縄本島北部で。写真=筆者)

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