東京発・沖縄報道と現地のギャップ

写真

名護市の人口は商店街や市役所のある西海岸に圧倒的に集中する(写真=筆者撮影)

 オバマ米大統領の来日で沖縄の基地問題が改めてクローズアップされている。テレビはNHKも民放も8日の県民大会を中心に伝えた。県民大会は日米政府が合意した「普天間基地の辺野古移設」などに反対する集会だった。
 東京からクルーを送り込んだ局は、現地取材なども加えて「特集」風に制作した。辺野古の基地計画を名護市民はどう捉えているのかをリポートした局もあった。
 沖縄北部は景気の冷え込みが厳しい。名護市の商店街は、全国の地方都市と同じようにシャッター通りと化していた。「基地が来れば、地元に金が落ちると歓迎」「事件事故や騒音が心配」…・テレビは賛否両論を伝えた。基地をめぐる賛成、反対の意見は確かに存在する。決して間違いではない。
 ところがここに落とし穴がある。市役所や商店街などがあり、人口が圧倒的に集中しているのは名護市の西海岸だ。辺野古は東海岸。両岸は山で仕切られている。
 独断と偏見で言えば大半の名護市民にとって辺野古は「別世界」だ。インタビューは対岸のそれも山向こうの問題を「山こっち」の人々に聞き、名護市民の声としてまとめられていた。表層的ではないだろうか。
 東京のテレビ局は問題を分かりやすくするため、地域振興か基地かという「鋳型」に流し込んだのだろうか。あるいはそういうものだと思い込んだのか。少なくとも地元に密着したジャーナリストだったら、こういう描き方はしないだろう。
 辺野古集落近くに住む年金生活者(60代後半・男性)は「辺野古は山で遮られているから、名護(の大半の人々)にとっては基地が来ても別に迷惑ではないのだ」と山を指差しながら話す。
 「政府(東京)にとっての沖縄」と「名護市政にとっての辺野古」は相似形だ。ここを伝えきれないのが、東京発沖縄報道の限界だ。我が戒めともしたい。

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

.