「総理は実質賃金がマイナスだとの認識がないんじゃないか。厚労大臣の責任は重い」・・・きょう、国会内で開かれた野党5党による政府(厚労省、総務省など)からのヒアリングで、原口一博議員が指摘した。
原口議員は「(知り合いの)自民党の議員に『実質賃金はマイナスになっている』と教えたら、その自民党議員は『えっ?』と驚いた」とも明かした。
実際、安倍首相は昨日行った施政方針演説で「5年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われた」とぶち上げた。なぜこんなことになったのか? きょうのヒアリングに答えが詰まっていた―
「総務省は生データを見ましたか?」「厚労省は政務三役(大臣、副大臣、政務官)に見せましたか?」・・・アベノミクス偽装の核心が凝縮された黒塗りのペーパーをかざして、原口議員は厚労省と総務省を追及した。
黒塗りが外れれば、そこには自民党総裁選直前の2018年6月に「記録的な伸び」を示した賃金調査の生データが記されている。麻生財務大臣からの事実上の指示を受けて、厚労省がごっそりサンプル入れ替えしたデータである。賃上げ偽装の証拠物件だ。生データを見れば、給料の高い会社ばかりを集めて、さらに数字をいじくったことが分かる。
政府の統計は総務省統計局でチェックを受ける。原口議員の質問に総務省は意味不明の答弁を繰り返した。氏は「(生データを)見ていないんですね」と念を押すようにして尋ねた。民主党政権時代に総務大臣だっただけに、総務官僚は簡単にウソをつけない。
厚労省は「政務三役に(生データを)見せたか?」と原口議員から問われると「確認します」と答えてかわした。
ヒアリングの後、田中が「生データを見ていないのですか?」と聴くと、総務官僚は今にも泣き出しそうになった。
実質賃金が記録的に伸びるようにしたカラクリの詰まった生データを、役人は根本匠厚労大臣に見せていないようだ。「実質賃金の伸び率がマイナス」であることを、全国紙は野党議員の指摘としてしか報じない。テレビはまったく触れない。
安倍首相が「実質賃金マイナス」を知らなくても、何ら不思議はないのだ。まさしく裸の王様である。
~終わり~
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