11日の衆院予算委員会で玉木雄一郎議員(希望)が安倍首相を追及中、はるか後ろの席にいた佐伯耕三首相秘書官が、何やら叫んだ。
玉木議員は「秘書官ですか? あなたは。質問者にヤジを飛ばすのはやめてもらいたい」と抗議した。
議員ならともかく、秘書官のヤジは前代未聞だ。朝からワイドショーを賑わした。官邸御用達のコメンテーター、田﨑史郎氏は「安倍総理にアドバイスしていただけですよ」と佐伯秘書官を擁護する。「あぁ、そうだったのか」と思わされた視聴者は少なくないはずだ。
田中は玉木議員本人に事情を聞いた。玉木氏は「(佐伯秘書官は)私(玉木)の目を見て『違うよ』と言った」と証言した。
助言は普通、耳元で囁くかメモを渡すか、だ。3mも4mも後方から安倍首相に助言などできるわけがない。
佐伯秘書官はやはりヤジを飛ばしていたのである。スシローに騙されてはならない。
いつものことながら安倍首相の答弁もお粗末だった。「国有地の8億円値引きは適正だと思うか?」と玉木議員に問われると、首相は「適正かどうか答弁できる立場でない」と答えた。
近畿財務局が「ダンプカー4千台分のゴミが埋まっていたことにしてくれ」と森友学園側に口裏合わせを依頼していたことまで明らかになっているのである。中学生でも適正でないことが分かる。
財務官僚出身の玉木議員が、中学生以下の知的レベルしかない安倍首相を一喝した。
「国の財産を適正な対価なくして譲渡または貸しつけてはならない。法律(財政法9条)に明確に規定されてるんですよ。そのことを一国の総理大臣がトップとして答えられない。どうなってるんですかこれは」と。
あまりの酷さに森ゆうこ参院議員は、衆院予算委員会を中継していたテレビを途中で切った、という。
「私がもしあの場(衆院予算委)にいたら議長席をひっくり返して蹴りを入れる」と憤った。
森ゆうこ議員はプロレスラー出身の自民党議員をド突いた武勇伝を持つ(註※)。本当に議長席をひっくり返して蹴りを入れるだろう。
きょうも野党5党は合同で財務、国交省からヒアリングした。森議員は居並ぶ財務、国交官僚たちに諭すように言った―
「安倍内閣を守るためにウソをつかされて・・・国民のために能力を発揮すれば、いい法律を10本くらい作れる人たちがもったいない。何の生産性もないし、そんなことする必要もない」。
オツムの弱い首相のためにハイパー頭脳を持った官僚たちが法律さえも破る。国家が壊れて行くさまを我々は今、見せられている。
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(註※)03年参院外交防衛委員会でイラク復興支援特別措置法を与党が強行採決しようとした際、乱闘となった。森ゆうこ議員(自由)は大仁田厚議員(自民)の髪をつかんで頭を叩いた。
〜終わり~
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