財務省が公文書改ざんを本格化させたのは、有名なあの一言から1ヵ月後だった。参院予算委員会で、小西洋之議員(民進)が塚本幼稚園の教育勅語朗唱について安倍首相を追及したことが、財務省を追い込んだのである―
「ワタクチやワタクチの妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞めますよ」(昨年2月17日衆院予算委員会)。
財務省がひっくり返るような大慌てとなった安倍首相の発言からほぼ一ヵ月後の昨年3月13日、財務省を第2波の激震が襲う。
この日、参院予算委員会で小西洋之議員(民進)は、平成25年(2013年)10月22日の衆院予算委員会の質疑応答を引き合いに出し、安倍首相を追及した。引き合いに出されたのは、平沼赳夫議員の質問だった。右翼思想で鳴る大物政治家だ。
塚本幼稚園を訪問した平沼議員は、幼稚園児が教育勅語を暗唱していることに感銘を覚え、安倍首相に質問した。「この幼児教育に関して総理大臣の所見をお伺いしたい」。
安倍首相は賞賛した。「これは単に覚えるというよりも、思考力を刺激していることでもあるわけで。こういう新たな教育のアプローチについて、しっかりと我々も現場の先生たちと共に研さんを進めていくことが大切ではないか」と。
教育勅語をめぐっては1948年、衆参両院で失効の決議がなされた。昭和58年(1983年)には瀬戸山文部大臣が参院決算委員会で「現在の憲法、教育基本法のもとでは不適切」と答弁している。
日本会議・国会議員懇談会の会長(当時)でもある平沼議員の質問を重く見た小西議員はこう質した。「総理は教育勅語を丸暗記することが教育として許されるとお考えなんでしょうか?」
やはりというべきか。安倍首相は教育勅語を丸暗記させる塚本幼稚園の教育方針を否定しなかったのである。森友疑惑で国会が騒然とし始めてほぼ1ヵ月が経っているにもかかわらず、だ。
首相は自らの肝煎りで発足させた教育再生会議を持ち出して「輪読、反復練習」の効用を説いた。小西議員が教育勅語の違憲性を問うているのに、反復練習の話にすり替えたのである。
予算委員会のもようは財務省にもれなく伝わる。
《安倍首相は森友学園の思想と共鳴し合っている。にもかかわらず「関わりはなかった」ことにしなければならない》・・・二律背反の解消という重い命題を背負った財務省は、改ざんを本格化させていった。
きょう国会内であった野党合同ヒアリングで小西議員は「皆さん(財務官僚)たちは(こうして)削除に追い込まれた」と指摘した。財務官僚は否定できなかった。
〜終わり~
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