大物政治家が最後の勝負に出た。喧嘩上手で鳴る亀井静香・元金融担当相がきょう、トランプ候補と会談するために渡米した。
NY便の搭乗を前に羽田空港国際線ロビー待合室で記者会見した。
8日、投票となる米大統領選挙は、大方のマスコミ報道に反して、玄人筋は「トランプ、リード」の見方を取る。
先月、訪米した安倍首相はクリントンとは会ったが、トランプには会わずじまいだった。
外交・防衛においてこれまでのホワイトハウスとは全く異質の路線をとるトランプが大統領になった場合、パイプのない日本政府が右往左往するのは目に見えている。
「(トランプは)『安保タダ乗り』など日本を理解していない発言が多い。あるべき状況について私の考えを伝えたい」。老獪な保守政治家が先を読んで動いたとも言える。
だが本音はTPPだ。亀井は2005年、小泉首相の唱える郵政民営化に反対し、自民党を追われた。郵政民営化の完成版がTPPだ。
「あの時(郵政民営化)もアメリカの要求だった。今度(TPP)はもっとアメリカに有利なことをしようとしている」。
亀井は自民党を追われた直後の総選挙(いわゆる郵政選挙)では無所属となったため、死にもの狂いで議席を守った。
「最初(郵政民営化)から、そう(日本売り)だった」。骨の髄まで「日本売り」への憎しみが染み込んでいる亀井だ。
「対等な日米関係を目指す」。出発を前にした亀井は抱負を述べた。鳩山由紀夫首相もそう言ってアメリカと官僚とマスコミに潰された。
田中は「『対等な日米関係』などと言うと鳩山さんのように潰されませんか?」と聞いた。
「俺をどうやって潰すんだ? 私は何も恐れない」。亀井は顔色ひとつ変えず答えた。
金融担当相時(2009年6月~10年6月)、記者会見で「CIAはいつでも俺を殺しに来い」と豪語していたが、当時と同じ表情だった。
米金融資本の代理人とも目される竹中平蔵氏の手先だった木村剛・日本振興銀行会長が銀行法違反で逮捕される事件があった。2010年夏のことだ。
亀井が率いる金融庁の査察で不正が明らかになったのである。亀井は当時、記者会見で「(木村逮捕は)私の最後の仕事だ」と執念を露わにした。
安倍政権下、政治家は米資本の使い走りであるアメポチだらけだ。トランプとの会談は、国益をかけてアメリカと戦う80歳にとって最後の勝負となるのだろうか。(敬称略)
~終わり~