タガが外れたとはこのことだ。陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH47がきょう米軍ヘリパッド建設用の機材を予定地に搬入した。それも生活道路である県道をまたいで。
午前6時27分、バタバタという重低音が高江上空に響いた。頭のすぐ真上から降ってくるような音だ。
建設に反対する住民・市民の拠点となっている「N1裏テント」に緊張が走った。
沖縄平和運動センターの山城議長らは早速、重機などがヘリで運び込まれるH、G地区に向かった。建設作業員を入れさせないようにするためだ。
2基のCH47ヘリは6時27分の1番機から3回、何も吊るさずに飛んだ。巨大な格納庫の中に建設作業員などを積んでいるのだろうか。
全長約16m、有効搭載量11・2トン、輸送人員55人。巨大ヘリはローター音が空に響き始めてから数分後に建設予定地上空に飛来した。
4回目からは建設用機材を吊るした。トラック、キャタピラー付き車両・・・。
積み込む場所は米軍北部訓練場メインゲート裏だ。沖縄防衛局はここに前もって建設用機材を運び込んでいた。
メインゲートからヘリパッド建設予定地のH、G地区に飛ぶには、県道70号線をまたがなければならない。70号線は国頭村、東村住民の生活道路である。落下事故が起きなければよいのだが。
読谷村にあった旧読谷飛行場では、ベトナム戦争の激化に連れ、毎日のようにヘリからの軍用車両や機材、兵員の降下訓練が行なわれていたという。
1965年には落ちてきたトレーラーの下敷きになり、女児が死亡する事故があった。基地があるゆえの飛行機事故は沖縄県民にとって忌まわしい記憶でしかない。
「(米軍基地の建設資材を積んだ陸自のヘリが)県道70号線をまたいだ」。琉球新報のベテラン記者は顔をこわばらせた。
自衛隊が米軍の下請けとなって中東で武器弾薬や米兵を輸送したことは、これまでにもあった。これ自体、憲法9条が壊れていることを示す。
今回はヘリパッド工事のための「建設下請け業者」となったのである。
福島原発事故で自衛隊は、CH47大型ヘリを使い決死の消火活動に当たった。同じヘリがまさか、住民の怒りを買うような理由で使われるようになるとは。
ベトナム戦争で実戦配備されたCH47が、沖縄の空を飛ぶのは悪しき因縁と言ってよいのだろうか。
~終わり~
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