カーブの向こうから次から次へと警察車両が湧いてきた。最後尾は見えない。赤い点滅灯が大蛇のようにうねった。
「品川」「北九州」「尾張小牧」・・・本土各地のナンバープレートが続く。機動隊が全国から集結していることがビジュアルにわかる。
カマボコを中心とした警察車両は、田中が数えただけで34台もあった。1台平均15人が乗っているとして510人。
3日午前5時、米軍ヘリパッド建設予定地から約10キロ手前の赤橋南詰で見た光景だ。
人口わずか150余人の東村高江に、これだけの数の警察車両が向かっているのである。向かっていると言うより、襲いかかっていると言った方がいいだろう。
この日は建設予定地のゲート前で抗議集会が開かれることになっていた。ゲート前に座り込んで工事車両を阻止する集会だ。
機動隊は集会を開かせまいとゲート前に向かっているのである。
「機動隊の派遣は沖縄県警の要請に基づくもの」と政府は答えているが、真っ赤なウソである。
沖縄県警から各県公安委員会に要請が出されたのは7月12日。ところが前日の7月11日に警察庁から「沖縄県警への特別派遣について」という通知が出されている。
警察庁が各県警に「沖縄から要請が行くからよろしく」と、根回しをしていたのだ。
また、派遣要請をしたことになっている沖縄県公安委員会は、派遣のための会議すら開いていなかったことが、市民団体の情報公開請求で明らかになった。
機動隊派遣は警察庁の主導だったことがわかる。
集会場の約1キロ手前の高江橋でピケが張られていた。工事用の車両を通さないためだ。
徒歩でピケをくぐった参加者が続々と座り込みに加わった。うるま市から訪れた女性(70代)は、足を引きずるようにして会場にたどり着いた。高齢のせいか、少し背中が曲がっていた。
「暑いですね。高江橋から歩くのは大変だったでしょう」。田中が声をかけると ―
「なぜ沖縄は地上戦に巻き込まれたのだろう? その答えを見つけに高江に来た」。
「答えは見つかりましたか?」と聞くと、「国家権力が総力を挙げてやってくるところが同じ」。女性は流れ落ちる汗を拭おうともせず話した。
~終わり~
皆さま。高江は沖縄にあってさらに遠隔地です。出費がかさみ財政事情が厳しくなっております。ご支援何とぞ宜しくお願い致します。
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