麻生太郎副総理のお膝下、福岡。九州一の繁華街・天神で安保法制に反対する市民たちが、横断歩道を30分間にわたって往復した。
老若男女、各層が「安倍さんで大丈夫?」「Vote for Future」と書いたプラカードを掲げながら歩いた。スピーカーのボリュームを一杯に上げた右翼の街宣車が繰り返し妨害に来た。
~参院選~
名だたる保守王国に民進は地元放送局の人気キャスターを立てた。抜群の知名度で議席獲得は射程に入った。
改選議席が1つ増えて3議席となり、公明が24年ぶりに独自候補を擁立した。元女性外交官(34歳)だ。共産も女性候補(32歳・元病院職員)を出す。
改憲勢力の大阪維新も加わる。前回(2013年)の参院選で日本維新は次点(3位 / 今回であれば当選)ながら22万2千票を得た。
公明が候補者を立て、改選議席が3になったため、当選ラインは下がる。混戦だ。
福岡市東区在住の70代男性は、「票が割れると(野党には)厳しい。結果的に共倒れとなる。ダークホースが通らないか」と厳しい表情で語る。
「憲法が壊され、戦争に連れて行かれ、裸同然でお金も体も持っていかれるんじゃないかと心配する人もいる」と続けた。
~衆院選~
参院は野党が最低でも1議席を確保できる可能性が高い。だが衆院は解散があった場合、前回(2013年)に続き、野党は11ある全選挙区で負ける恐れがある。
野党共闘すれば2つの選挙区で勝てる可能性があり、1つの選挙区で互角に戦える。だが野党共闘は進む気配がない。
福岡の民進には「我々が保守本流」という“自負”があるようだ。「安倍首相が率いる今の自民党は極右」なのである。
市民連合のメンバー(40代・男性)が実情を明かす ― 「福岡の民進党を訪ねると『共産党が来た』『応援するのは勝手です』と言われた」。
母親、老人、中年、学生・・・地元市民の危機感には並々ならぬものがある。
ダブル選挙ともなれば、野党不統一は致命傷となる。
前出の市民連合メンバーは絶望感をにじませながら語った。「野党共闘が出来なかったら全部持って行かれる。焼け野原です」。
~終わり~