野党統一は容易ではない。かといって野党が結束しないことには大変なことになる―
市民の並々ならぬ危機感が野党統一候補を難産の末、実現させた。
参院新潟選挙区。民進が乗らずに生活、共産、社民だけの場合、森ゆうこ候補予定者(無所属)は自民に遠く及ばない。
だが民進が乗ったことにより56万票となり、自民の45万票を大きく上回る。
民進だけで戦ってもダブルスコアで自民に敗れる。(いずれも前回2013年参院選を参考)
もちろん選挙は単純に足し算で決まるものではないが、結束することの効果は大きい。
森ゆうこ氏を野党統一候補に押し立てた市民たちがきょう、上越市で安保法制反対集会を開いた(主催:戦争法NO! 上越実行委員会)。
集会には民進、共産、社民の支持者や地方議員が参加した。もちろん野党共闘を呼びかけ続けてきた市民グループの姿もあった。
森氏が野党統一候補になったことを最も喜んでいるのが、脱原発派の人々だ。新潟県は世界最大級の発電量を誇る東電・柏崎刈羽原発を抱える。
豪雪地帯の新潟で事故が起きれば、住民は逃げまどい大惨事となるのは必定だ。
高校生の娘を連れた母親は厳しい表情で訴えた。「原発を見て見ぬフリはやめてほしい。福島の現状を見て知っているでしょ?」
一方で脱原発を唱える森氏が国会議員に返り咲くことを喜ばない勢力もいる。東電と東電労組が絶大な力を持つ連合だ。
再稼働に立ちはだかる泉田裕彦・新潟県知事が今年秋、改選を迎えることから、ここは森氏を潰しておかねばならなかった。
連合に支えられる民主党(現民進党)は1月末、現職の衆院議員、菊田まきこ氏を参院新潟選挙区に立てると発表した。
だが、勝算が立たないことから菊田氏の立候補取り下げを決める(3月下旬)。後に民進は森氏を推薦することを決め野党統一が実現した。
きょうの集会でマイクを握った森氏は、各党に並々ならぬ気配りを見せた。
「社民党は黒子として奔走して頂いた」
「共産党には『自分の党の候補として頑張る』と言って頂いた」
「民進党には2度までも重大な結論を出して頂いた」
森氏は演説で持論の「脱原発」を封印した。
「原発に触れないのはちょっと物足りないですね?」田中は感想を漏らした。
市民グループの中心人物は「まず議席を獲ること。でないことには安倍政権を倒せない」と納得の表情で語った。
~終わり~