「1%」と「99%」が真っ向から激突した衆院北海道5区補選。最終日のきょうは、両者の特色が鮮やかに表れた。
和田よしあき候補(自民公認)の選挙事務所に入ると、町村信孝・前衆院議長の遺影が迎えた。
北海道知事などを歴任した父・町村金五氏から受け継いできた金城湯池の北海道5区を、よそ者の政治家に渡すわけにはいかない。
後援会あげての「弔い合戦」は、既得権益を死守する戦いでもある。
北広島市の選挙事務所前で行われた和田候補の街宣には、打ちつけるような雨のなか、大勢の支持者が集まった。
「町村さんの時から世話になった。恩義を込めて(和田候補を)勝たせたい」。学校の校長を務めていたという男性(60代後半)は、おだやかな口調で語った。
東京から応援に駆けつけた岸田文雄外相もマイクを握り、情に訴えた。「天国にいる町村さんも注目している」と締めくくり、弔い合戦であることを強調した。
和田候補者に至っては政策にはほとんど触れなかった。「人間機関車の和田です。頭から湯気が出ています」などと体育会系であることを強調した。
締めくくりは岸田外相同様だった。「町村が『選挙は投票箱のフタがしまるまで分からない』と言っていました」と義父をフル活用した。
池田まき候補(民進、共産、社民、生活推薦)の選挙は最後まで市民が前面に出た。
ボランティアたちが国道沿い、駅前などでプラカードを持ちスタンディングをした。
ネットで呼び掛けた「イケマキでんわ勝手連」には約600人が参加した。なかには米大統領選を戦うバーニー・サンダース陣営の日本人ボランティアもニューヨークからスカイプを使って参戦した。
これぞ「1%」に対する「99%」の戦いを象徴していた。
巨大与党に立ち向かうシングルマザーの戦いに、日本中が固唾を飲んだ。
スポット演説が行われる大麻駅頭には、北海道1区在住の女性(40代)の姿があった。女性は「イケマキを一目見たくて」足を運んだという。
「これまでの政治家とは違う。今の日本に必要。政治を市民のものにしてくれそう」。女性は期待を寄せる。
こぬか雨のなか池田候補は訴えた―
「野党がひとつになりました。市民の選挙ということです。政治に声が届くんです」
「権力にひれ伏すことなく、すがることもなく、ひるむことなく声をあげていく。安心の暮らし、平和な社会への思いを池田まきに託してください」。
アベ政治に苦しめられる「99%」の生活を背負って選挙を戦ってきたイケマキ。その声は かすれ切っていた。
~終わり~