【北海道5区】アベ政治が作り出した「イケマキ現象」

「女性デー」のきょうは、蓮舫・民進党代表代行らが応援に入った。=16日、北広島市 撮影:筆者=

「女性デー」のきょうは、蓮舫・民進党代表代行らが応援に入った。=16日、北広島市 撮影:筆者=

 幼い頃、家庭内暴力で家族がバラバラになった。学校に通いきれず働き詰めで一人暮らし、日々生きていることが奇跡だった。

 (結婚して)いつか暖かい家庭をと思っていたが、それも2年で終わり。2人目を出産した時、夫がいなくなった。サラ金に追われる日々が始まった・・・

 衆院北海道5区補選で「イケマキ現象」を起こす野党統一候補、池田まき氏。彼女の選挙演説は冒頭から凄絶な人生経験で始まる。

 (自分の)子どもを守らなければならない。あちこち駆けずり回ったが、行政は冷たかった。

 当事者目線に立った福祉の仕事がしたい。苦学してソーシャルワーカーになった池田氏の前に立ちはだかったのは、制度の不条理だった。不条理な現実を変えるには政治の力が必要になる。彼女が政治家を志した理由だ。

 「池田さんの政治の原動力は幼少期の体験ですか?」 粗野な田中は単刀直入に聞いた。

 「はい、そうです」。池田氏は表情をピクリとも動かさずに答えた。ニコニコと笑ってさえいた。地獄を幾度も見てきた人間特有の凄さだった。

「応援してるからね」。有権者は身内に話しかけるように池田候補を励ました。=16日、JR新札幌駅ビル前 撮影:筆者=

「応援してるからね」。有権者は身内に話しかけるように池田候補を励ました。=16日、JR新札幌駅ビル前 撮影:筆者=

 告示から5日目となる今日、JR新札幌駅前の演説会場には数えきれないほどの有権者が訪れた。手作りの横断幕や思い思いのプラカードを持ち寄った。

 動員にありがちな画一的なプラカードではない。イケマキに込める期待の表れだろう。

 早い時間から待っていたお年寄り(80歳・女性)は、演説が終わると 納得の表情 で感想を語った ―

 「『一人も置いてきぼりにしない』『一人ひとりを大切にする』なんて誰でも言えるんだよ。イケマキだったら経歴からして絵空事にはならない。今まで生きてきた中で、これほど市民(感覚)と一致している候補者は見たことがない」。

 子どもの6人に1人が貧困にあえぐ。「女性が輝く社会」とうそぶく一方で、女性の非正規労働者を増やす。

 池田候補の人生は「安倍的なる政治」に苦しめられてきた。弱者の生き血を啜って強者が肥え太る政治に。

 そして今、安倍政治の犠牲となっている人々が、熱狂的にイケマキを支援し国政に送りだそうとしている。

イケマキは民進党の女性スターたちよりも華がある。=16日、札幌市厚別区 撮影:筆者=

イケマキは民進党の女性スターたちよりも華がある。=16日、札幌市厚別区 撮影:筆者=

  ~終わり~

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