「地球温暖化防止」と「反戦」が結びついた。と言っても市民レベルだが。
パリで開かれていたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)最終日の21日、各国の環境団体、市民団体、平和団体などが凱旋門前に集った。(主催:ATTACK FRANCE、地球の友など)
世界195の国と地域(BBC調べ)の政府首脳が出席して2週間も議論を重ねた仰々しい会議だったが、集会主催者の一人がいみじくも指摘した―
「地球的規模の危機が迫っているのに(COP21は)何ひとつ前進的な決定がなかった。今回の決定では20年先も生きてゆけない」。
時局を象徴するような横断幕に目をひかれた。『石油のために空爆している、私たちの命は石油よりも重い』と書かれている。
「99%STAND FOR CLIMATE」という名のグループが掲げた横断幕だ。同グループは欧州各国の若者たちが今夏、立ち上げた。
「COP21は資本主義を推進しようという人たちの集まり。(地球温暖化が)解決されるはずがない」。メンバーの一人(女性20代)は語る。問題を適確に見抜いていた。拝金主義がまかり通る限り、地球温暖化も戦争も止むはずがないのだ。
彼女はフランスによる空爆についても否定的だった。「叩かれたら叩き返す、では中東の問題は解決しない」と。
戦争は最大の環境破壊と云われる。地球温暖化防止と反戦は当然のように結びついた。COP21のホスト国が、ISへの空爆を続けるフランスだったというのが、問題を象徴している。
凱旋門周辺の警備は厳重を極めた。フランス国家警察の治安部隊が車両を並べて、参加者たちをシャンゼリゼ通りに入らせないようにした。地下鉄の出入口もシャッターを下ろさせた。
デモ隊が花のシャンゼリゼをパレードできるようになった時、「環境問題と戦争」は少しは解決に向かうのだろうか。
~終わり~
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13日投開票のフランス版統一地方選挙では、テロの ”追い風” を受けて右翼政党が首位を狙う勢いを見せています。田中は選挙を見届けて帰国する予定です。