戦火に見舞われているのでもない、それも一等国でこんな寂しいクリスマスがあるのだろうか ―
パリから北北東へ約45㎞の街、サンリス。街といってもガソリンスタンドとドライブイン以外に商店らしきものはない。郊外型の大型ショッピングセンターの出現で商店街は壊滅した。
かつては農業が栄えていたが、後継者不足の折、政府が進めた農業の大型化がたたって、今ではすっかり、すたれてしまった。日本の地方都市とよく似た光景が広がっていた。
幹線道路の交差地点では黄色いベストたちが車両を停めて、運動への理解を求めていた。道路を封鎖してしまうわけではない。物流を担う車の流れを遅滞させることで、経済に打撃を与えるのが、彼らの狙いだ。
幹線道路の交差地点にできる中洲には、彼らが体を休める小屋があり、車を停める活動を連日続ける。黄色いベストたちのこうした活動拠点は全土で約1,000ヵ所あるといわれる。機動隊に潰されると、すぐに別の場所に作るのだ。
田中がサンリスの拠点を訪れたのは24日夕方。クリスマスイブだ。フランスでクリスマスは日本の正月にあたる重要な行事だ。国民がここまで貧しくなる前、大概の家庭はクリスマスツリーの下に子供のプレゼントを置き、母親が腕によりをかけた料理に家族全員が舌鼓を打った。
マクロン政権が登場するまでは、クリスマスイブに幹線道路の中洲に集まり、小屋の中でクリスマスを祝う光景などなかった。
年金生活者のアンドレさん(元公務員72歳)は、月収1,300ユーロ(約16万円)。
「家賃、光熱費、社会保障費を払ったら、ほとんど残らない。買い物は一番安いスーパーしか行けない」と切実だ。
クリスマスはどうするのか?と聞くと「孫を呼んでプレゼントを贈ることもできないよ」と嘆いた。
日本でいうと、オジイちゃんが孫を呼んでお年玉をあげることができないのだ。
アンドレさんは「政府はヤクザと同じだ。庶民から ふんだくって いる。許せない。フランス政府が爆発してなくなれば、クリスマスもまともに祝えるようになるだろう」と吐き捨てるように言った。
黄色いベストは何も特別な人たちではない。普通の庶民だ。いわゆる99%である。
~終わり~
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フランスは日本と同じ社会事情になっています。金持ち優遇のマクロン政権と安倍政権が同じ政治手法を取っているからです。
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