「トヨタが4千円のベースアップ」「日産は5千円」・・・マスコミが「官制の賃上げ」を華々しく報道するが、現実はお寒い限りだ。
東京メトロ本社前で朝から夕方まで「雇用の確保」を求めて座り込みを続ける女性たちがいる(最終日は27日)。
彼女たちは地下鉄の売店で働く非正規社員の労働組合(※)員だ。
東京メトロの100%子会社、メトロコマースでは11人の販売員が3月31日で定年退職を迫られる。11人全員が非正規社員だ。
時給950~1,100円という低賃金、月収は11万~13万円にしかならない。わずかな収入の中から家賃、公共料金を払うと、手元に残るカネはほとんどない。貯金など夢物語だ。
それでいて退職金は1円たりとも出ない。非正規社員だからだ。貯金もない。退職金もない。これでどうして生きて行けというのか。
千代田線「町屋駅」の売店勤務の疋田節子さん(65歳)は3月31日で契約解除となる。
「生活していけなくなる現実が目の前に迫っている。路頭に迷う」。疋田さんは目も うつろ に語った。
非正規労働者は2,003万人で全体の38%を占める(総務省労働力調査=2014年10月~12月)。前年同期比で38万人増えた。
安倍政権が進める派遣法の改正(改悪)で、さらに非正規労働者は増える。
「どうやって生きて行けというのか?」。彼女たちがいま直面している問題は、近い将来、何千万人という労働者の問題となる。
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「全国一般 東京東部労組 メトロコマース支部」
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