ガザ市西部海岸沿いのアスガニーア地区。ここにイスラエル軍が12日正午頃、空からリーフレットを撒いた。
「住民たちよ、ここを立ち去りなさい。危険だから」とアラビア語で書かれていた。人口約3千人のうち70%は避難した。30%はまだ残っている。他に行く所がないからだ。
同地区を取材していたところ、「ドシン」と爆弾の炸裂音が響いた。音のする方向に目をやると、黒い煙が立ち登っている。取材現場から50mと離れていない場所をイスラエル軍が空爆したのである。
イスラエルがアスガニーア地区の住民に退去命令を出したのは、ここに「パレスチナ・インフォメーション・センター」があったからだ。同センターはガザのCIA的な役割を担う。センターの庁舎は粉々に破壊された。
マスコミはハマス関連施設が標的になる、と報道する。確かにその通りである。いや、「その通りだった」という方が正確だろう。
民家も爆撃されるのは、民家の地下にハマスの軍事施設があったりするからだ。
だが、「パレスチナ・インフォメーション・センター」はファタハの施設である。
パレスチナでは先月、従来のファタハにハマスを加えた統一暫定政権が誕生した。内部対立の歴史に終止符が打たれることは好ましいのだが、イスラエルにとっては面白くない。敵が一つにまとまるからだ。
イスラエルのネタニヤフ首相は「テロリストを政権に入れた」と激怒、矛先はパレスチナ自治政府のアッバス議長に向かった。
ファタハのリーダー的存在であるアッバス議長は「最後の血の一滴まで闘う」と応戦する。
イスラエルと融和的な姿勢をとり続けてきたファタハが、かつてのような対決姿勢に戻れば、パレスチナ紛争は再び全面戦争状態になる。
◇
読者の皆様。田中はクレジットカードをこすりまくってガザに来ました。借金です。ご支援よろしくお願い致します。