「なぜ東電を強制捜査しないのか」 検察審査会を人間の鎖で包囲  

「検察に起訴を求めよ」「強制捜査を求めよ」。参加者たちは手をつなぎながらシュプレヒコールをあげた。=4日、東京地裁前 写真:筆者=

「検察に起訴を求めよ」「強制捜査を求めよ」。参加者たちは手をつなぎながらシュプレヒコールをあげた。=4日、東京地裁前 写真:筆者=

 
 人格権を最優先して原発の運転差し止めを命じた福井地裁の判決は出たものの、やはりこの国の司法は腐りきっているのだろうか。

 安全管理を怠ったため福島第一原発は放射能漏れ事故を起こしたとして東電幹部や政府の役人を刑事告訴・告発した福島の住民や支援者たちが、きょう、東京地裁を人間の鎖で包囲した。

 福島の住民1,324人(2012年6月11日)が東電の勝俣恒久元会長や武藤栄副社長、経産省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長、原子力安全委員会の班目春樹委員長(いずれも当時)ら33人を、業務上過失致死傷罪で福島地検に告訴して間もなく2年が経つ。

 福島地検は東京地検に事件を移送、東京地検は昨年9月、被告(東電幹部、政府役人)らを不起訴とした。「予見不可能だった」というのが不起訴の理由だった。翌10月、福島の住民ら(告訴団)は「予見は可能だった」などとして東京第5検察審査会に審査を申し立てた。

 告訴団が検察審査会に提出した「不起訴処分を不当とする理由」によると、事故の4日前に東電は保安院に津波の高さが15・7メートルとなる可能性を報告していた。311で実際に襲来した津波は15・5メートル。(事故当時に想定していた津波の高さは6・1メートル)。

 東電も政府(経産省原子力安全・保安院)も予見できていたのである。

 告訴団は検察が東電本店への強制捜査を見送ったことも「不起訴処分を不当とする理由」のひとつにあげている。捜査に全力を尽くしていないというのである。

上申書提出のため東京第5検察審査会に向かう告訴団の武藤類子団長ら。=写真:筆者=

上申書提出のため東京第5検察審査会に向かう告訴団の武藤類子団長ら。=写真:筆者=

 東京地裁を包囲したのは東京第5検察審査会の事務局が東京地裁にあるからだ。東京地裁は法務省、検察庁などと同じ一角にある。広大だ。それでも霞通り側は法務省までチェーンがつながった。それも2重だ。

 福島市に住む佐々木慶子さんは、参加者を前に次のようにスピーチした―

 「私たちは一昨年14,716人をもって、世界最大規模の原発事故を起こした政府・東電を相手に告発を行った。しかし強制捜査もしないで、真相究明もしない。それで不起訴ですか、納得できない。東京の11人(検察審査会委員)の方、皆さん全員が福島の悲惨さと実態を分かったら皆正しい判断をすると思う」。

 311前から原発の危険性を告発し続けてきた広瀬隆さんは、怒りを込めた―「昨年の不起訴決定の翌日、杉山主任検事になぜ不起訴にしたのか問い詰めた。これは犯罪ではないのかと聞くと、『東電の予想を超えた津波が来たから犯罪にならない。みんな専門家の知見を集めた』という。専門家とは全部原子力産業の知見だ。東電が『相応の対策をとってきた』というのもウソだ」。

 「検察、司法は何の役割を持っているんだ? これは無法国家だ。とにかく『無罪であるとは言ってないんだな?』と問い詰めたらそうだ」、と言った。『じゃあそれは限りなくグレーなんだろ、それをマスコミの前で言え』と言ったが、(杉山検事はまだ)言ってない。グレーだからこそ起訴をして、これからみんなで証拠を集めて議論しなければいけない。これが人間の常識だ。司法が犯罪者を放置していることは許されない」。

 告訴団の佐藤和良副団長は、被害住民の思いをぶつけるように語った―
「私たち福島事故の被害者は何ひとつとして救済されていない。加害者は枕を高くして眠っているではありませんか。断じて許せない。起訴相当を勝ち取るまで何としても、石にかじりついてもこの闘いを続けよう」。

 東京地裁包囲の後、武藤類子告訴団長と佐藤和良副団長が弁護士に付き添われて第5検察審査会に「上申書」を提出した。「この事故は予見可能だった。人々の命と安全を最優先させるべき。それが守られなければ犯罪だ」とする内容だ。

 告訴団長と副団長が「被害者の声を聞いて下さい」とお願いすると、検察審査会事務局は「審査会に伝えます」と答えた、という。

 陸山会事件が端的に示しているように検察審査会は政治判断で「起訴」「不起訴」を決める。謎の部分があまりに多く司法のブラックボックスとさえ言われる。

 検察審査会の委員が本当に“ 普通の市民 ”なら、そろそろ大飯の判決を踏まえた常識を示してもいい頃だ。

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