経産省包囲ー若者ハンスト「原子力への思いが政策に反映されていない」

人間の鎖で経産省を包囲した市民。(11日午後、経産省別館前。写真:上下とも筆者撮影)

人間の鎖で経産省を包囲した市民。(11日午後、経産省別館前。写真:上下とも筆者撮影)


 原子力史上最悪の原発事故を引き起こした東日本大震災から半年が経つ。政府は避難区域の指定解除を急ぐが、福島第一原発周辺では「フレッシュな放射能」が毎日降り積もり、土壌汚染は深刻さを増す。食品の放射能汚染は全国に広がった。

 この6か月で人々が気付いたことは、電力業界、政府、記者クラブメディア(マスコミ)が己の利益を最優先にし、国民は二の次に置いているということだった。「原発は将来ゼロになる」としていた鉢呂経産相が記者クラブの言葉狩りによって辞任に追い込まれた“事件”がそれを象徴している。

 11日午後、人々が原発事故と鉢呂辞任事件の本丸に迫った。人間の鎖を作って経産省を包囲したのである。原子力安全保安院などが入った別館や中庭のある経産省の敷地は広大だ。1300人の市民がそれを取り囲み、さらに警察隊の鎖が市民を取り囲んだ。霞が関はものものしい雰囲気に包まれた。

 中国電力の原発建設が予定されている上関から人間の鎖に駆け付けた若者がいる。岡本直也さん(20才)だ。「若い世代の原子力に対する思いが政策に反映されていない。長期間影響を及ぼす放射能を残してほしくない」。岡本さんは仲間3人と共に11日の夕方から21日まで経産省前で抗議のハンストに入った。

10日間のハンストに入る若者たち。原子力政策への怒りを表わした。(11日午後5時30分、経産省本館前)

10日間のハンストに入る若者たち。原子力政策への怒りを表わした。(11日午後5時30分、経産省本館前)

 新潟県から参加した母と子の姿もあった。母親(42歳)は「動かないと何も変わらない。新潟は柏崎原発があって不安だ。自分たちが使っている電気ではないので不満が募る」。鉢呂経産相の辞任については「惜しい。何で辞めさせてしまうのか。自民党時代に戻っている」と憤懣やる方ない様子で語った。

 小金井市の主婦(62歳)は「新宿に行くべきかと迷ったが、経産省は極悪なので抗議の意志を込めてこちらに来た」。

 「SCAPE BEEF」とプリントされたTシャツを着て群馬県から参加した女性(30才)もいる。彼女はデモに参加するのはこれが初めてだ。「独身だが将来子供を産むことを考えると不安になる。原発事故は許せない」と率直に話した。

 人間の鎖を作った1300人にもしインタビューしたら、1300の思いが語られることだろう。

 原発事故は日本国民を不安に陥れ、福島県民の生活を破壊した。政府は記者クラブの言葉狩りを真に受け真相から目を背けるのではなく、事実をありのままに捉えるべきだ。さもなければ被害はさらに拡大する。

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