「パブコメをエネルギー政策に反映して下さい」。環境団体や市民団体がきょう、6,904筆の署名を添えて経産省に申し入れた。(主催:FoE)
「原発をベース電源とする」―経産省は昨年終盤、福島の惨劇を無視したかのような「エネルギー基本計画」を打ち出した。「2030年代までに原発はゼロにする」としていた前政権の政策を180度転換するものだ。
「エネルギー基本計画」に関する国民の声を聴くパブリックコメントが、おととい(6日)締め切られた。経産省によれば、寄せられたパブコメは1万9千件。果たして国民の声は反映されるのだろうか?
環境団体と市民団体が通されたのは経産省別館1階ロビー脇の部屋だ。入館手続きの要らない、すなわち入館したことにならない部屋である。
経産省は資源エネルギー庁総合政策課需給政策室長の奥家敏和氏ら3人が応対した。署名を奥家室長に手渡し、申し入れ項目を読み上げた―
▼エネルギー基本計画に「原発ゼロ」を明記して下さい。
▼パブコメを公開の場で審議して下さい。
▼公聴会を開いて下さい。
奥家室長によれば「パブコメ1万9千件は現在、精査中」とのことだ。「関係閣僚会議にかけなければいけないと思っている」という。
本当だろうか? 閣僚会議にかけたとしても真摯に議論してくれるのだろうか? 8割もの反対の声が一顧だにされなかった特定秘密保護法に関するパブコメの悪夢がよみがえる。
公聴会は開かないのだそうだ。奥家室長は「やる(開く)ことは決めていません」と言い切る。開かない理由を聞かれると「(経産省の)ホームページで意見を募集した」と答えた。
経産省のHPでの意見募集などどれだけの人が知っているだろうか? アリバイ作りも甚だしい。環境団体と市民団体は、公聴会を開かない理由について納得のいく説明を求めた。
奥家室長は「専門家会議で審議を積み重ねている」と繰り返した。経産省の本音が顔を見せた瞬間だった。原発推進派で固め、結論ありきの専門家会議の方が、国民の声よりも大事なのである。
国民の声に耳を傾けようとしない安倍政権の姿勢が、パブコメの存在意義を危うくしている。