「インターネット選挙運動・解禁」となった参議院選挙は、新聞・テレビというオールドメディアの予想通り自民党の圧勝となって終わった。
「ネット選挙」「ネット選挙」と方々で話題になったにもかかわらず、大きな変化を感じることもなく、拍子抜けした人が多かったのではないだろうか。
昨夜、新宿のロフトプラスワンで「ネット選挙解禁!!どうする、どうなる日本の未来!~学生&若者が聞く、政治と選挙のホントのところ」というイベントが開かれた。同じ学生としてインターネット選挙の動向に興味があった私は、ロフトに足を運んだ。
選挙期間中、ネット選挙運動が学生の投票行動にどのような変化をもたらしたかの発表だ。発表したのは武蔵大学社会学部メディア社会学科松本ゼミの学生たち。同じ学部の学生を対象にアンケート調査したデータを基に分析した。
主な調査結果は次のとおり――
実際にネット上で政党や候補者による選挙活動を見たという回答は、残念ながら全体の二割。ネット選挙が解禁されたからと言って、若者がみな選挙への関心を高めたわけではないのだ。
「Twitterのタイムラインが選挙一色になった」という声がある一方で、
「選挙期間中でも、SNS上で目にするのは、いつも通りの投稿がほとんど」という感想もあり、ネット選挙での盛り上がりには、ムラがあることがうかがえた。
元から政治に興味のある人たちには、今回のネット選挙運動解禁は大きな影響があったようだ。だが、そもそも興味のない人たちには、あまり影響を与えられなかったようである。
では、ネット上で選挙関連の情報を見たという人たちは、いったいどこで情報を得たのだろうか?
一番多かったのはニュースサイトだ。2位はTwitter。興味深いのは、TwitterがFacebookや候補者の公式サイトを大きく引き離していたことである。
「Twitterの方が利用者が多い」「気軽に発言しやすい」などの利点が指摘されていた。誰かがリツイートした候補者のツイートを目にし、意見も賛同も手軽にできる。
候補者はFacebook上での情報発信を比較的重視していたが、若者の意識との間にはギャップがあったようだ。Twitterの扱いやすさが、情報への触れやすさとなっていたのだ。
「今までは、全く知らなかったから興味もなかったけれど、少しわかってきたら、選挙に行こうと思えるようになった」。アンケート調査に関わった大学生は語ってくれた。
彼女は未成年だが、次の選挙には必ず行くという。
ネット選挙は、若者の投票率を上げてくれる魔法のツールではない。だが、ネット選挙解禁によって、若者が選挙情報に格段にアクセスしやすくなったことは確かだ。
情報に接することで、少しでも政治に興味が増せば、投票に行く若者はもっと増えるのではないだろうか。
平山誠・元参議院議員の秘書、山岸加奈さんは、最後にこう締めくくった。「『言っても変わらない』ではなく、『言わなきゃ変わらない』
これからの日本を生きるのは60代の政治家ではなく、若い人たち。」
自分の未来を、他人の手に委ねてはいけない。選挙を変えるのは、ネットではなく、若者自身なのだ。
≪文・篠原麻奈美≫