【国家安全保障基本法】 いつか来た道を歩き出した安倍政権とマスコミ

国防軍反対デモ。戦争を忌み嫌う市民が少なくないなか「国家安全保障基本法案」が提出されようとしている。=1月、渋谷 写真:田中龍作=

国防軍反対デモ。戦争を忌み嫌う市民が少なくないなか「国家安全保障基本法案」が提出されようとしている。=1月、渋谷 写真:田中龍作=

 安倍政権が参院選後の今年秋にも提出を目指す「国家安全保障基本法案」。集団的自衛権の行使を可能にし、表現の自由を制限する秘密保全法をとり込んだ恐ろしい法律だ。

 選挙結果しだいでは、戦前の軍国主義国家への逆戻りに道を開くことになる。「国家安全保障基本法案」に反対する集会がきょう国会内で開かれた。(主催:Stop! 秘密保全法 共同行動)

 戦争遂行を指導する米国のNSC(国家安全保障会議)の日本版とも言える「国家安全保障会議」を、法律面で具体化しようというのが「国家安全保障基本法」だ。

 同基本法は第10条に基づいて「集団自衛事態法」を、第11条に基づいて「国際平和協力法」を制定する。念の入ったことに、武器輸出三原則をなし崩しにする第12条まで設けている。

 日米が共同で軍事行動すれば、「米軍の情報=自衛隊の情報」「自衛隊の情報=米軍の情報」となる。日米防衛政策見直し協議で合意された情報共有、情報の一体化を保障するため「秘密保全法」が出てくる。秘密保全は「国家安全保障基本法」第3条の3で規定される。

 日米の軍事当局者に都合の悪い情報をスッパ抜いたジャーナリストや内部告発した公務員は、この法律で処罰されることになるという訳だ。

 戦争遂行に欠かせないのが自衛隊の権能強化である。第8条の3は自衛隊が治安維持出動を超え公共の秩序維持活動にあたれるようにしている。自衛隊情報保全部隊による国民監視も可能となる。

 実際、2007年には自衛隊情報保全隊が仙台市で市民運動を監視していたことが明るみに出、仙台地裁の判決は国に賠償を命じた(2012年3月)。

国家安全保障基本法案に反対する院内集会。憲法学者、国会議員、ジャーナリストらが出席した。=19日、衆院会館 写真:田中龍作=

国家安全保障基本法案に反対する院内集会。憲法学者、国会議員、ジャーナリストらが出席した。=19日、衆院会館 写真:田中龍作=

 国家安全基本法は、自衛隊の交戦権を認めることになる。憲法第9条違反となり、内閣法制局の審査には通らない。このため議員立法となる。とはいえ7月に予定されている参院選挙で「日本維新の会」が議席を大きく獲得し、分裂した民主党から改憲派が加われば、同法の成立は一気に現実味を帯びる。
 
 記者クラブメディア(新聞・テレビ・大通信社)は、報道の自由を明らかにしばる秘密保全法までビルト・インされている国家安全基本法に警鐘を鳴らさない。

 日本ジャーナリスト会議の吉原功・代表委員は「マスメディアに問題がある。安倍政権の広報戦略に乗って情報を流している。自分で自分の首をしめるようなもの」と指摘する。

 戦前生まれの吉原代表委員は自らを「軍国少年だった」と話す。「マスコミが政権に組み入れられていた戦前・戦中の翼賛体制と現状はよく似ている」と渋い顔で語った。

 小泉政権が米国のイラク戦争を支持した時、記者クラブメディアは同調し、世論の“後方支援”さえした。

 戦争に足を踏み出そうとする政治権力の幇間(たいこもち)をするマスコミの性格は70年近くを経ても変わっていない。

 いつか来た道に向かって歩き出した安倍政権とそれに追随する新聞・テレビを注意深くウォッチする必要がある。

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