「大久保から不逞鮮人を一掃するぞ」「韓国は竹島から即刻出ていけ」…レイシストたちが日曜日の新大久保を練り歩き、ヘイトスピーチを垂れ流した(主催:関東新日友会、共催:在特会)。
市民や国会議員が東京都公安委員会にコースの変更を求めていたにもかかわらず、公安委員会が主催者の申請を認めたため、予定通りコリアタウンでの他民族排撃デモとなった。
有田芳生参院議員らが国会内で民族差別に抗議する集会を開き、マスコミが報道するなどしたこともあり、新大久保や大阪鶴橋で吹き荒れるヘイトデモは、多くの国民の知るところとなった。
JR新大久保駅前では新潟から来たという在日3世の女性が「仲良くしようぜ」と書かれた小さなビラを道行く人に配っていた。
ヘイトデモが通る大久保通りには高知から訪れた男性(40代・家庭教師)もいた。「ツイッターで見て、これ(カウンター)のためだけに来た。何もしないでいるよりは良いと思って。日本中が在特会を包囲している。日本の恥さらしだ」。
秋田県湯沢市から深夜バスに乗って来た僧侶(40代)の姿も。「YouTubeで知った。僕の中にも差別をする心は渦巻いていたと思うが、選択を迫られたような気がする。“こちら(カウンター)側に立つぞ”という決意表明のために来た」。
きょうは民族派右翼・一水会顧問の鈴木邦男さんが初めて現場を見に訪れた。「悲しいですね。日の丸がかわいそうです。嘆かわしいですね。こんなことではオリンピック招致などできない。公開の場で、桜井(誠・在特会会長)が話すというなら出ます。デモ隊の中に知り合いがいた。警察にデモをやめさせろと言うつもりはないが、こちらも日の丸を立ててデモをやりたいですね」。
鈴木氏はかねてから在特会を「彼らは右翼でも愛国者でもない」と批判していた。
大久保通りを見下ろす巨大スクリーンには、著名人がメッセージを寄せた。ジャーナリストの江川紹子さんは「あなたたち(在特会)のやっていることは、弱い者いじめ」と戒めた。竹田圭吾さんは「皆おなじアジア人」と説いた。
レイシストはわずか120名(公安刑事によるカウント)。歩道は両側とも「仲良くしようぜ」などと書かれたプラカードを持ったカウンターの市民で溢れた。レイシストの2倍をはるかに上回る数だ。カウンターの市民たちが合唱する「ザイトク帰れ」がレイシストたちを抑え込んだ。筆者が聞く限り、さすがのレイシストたちもきょうは「殺せ」を口にしなかった。
有田芳生議員は「“殺せ”と言えなくなったのは世論の勝利」とツイートした。
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