原発建設の是非を問うリトアニアの国民投票は、けさから(日本時間14日午後3時)始まった。深夜(日本時間15日午前7時)には大勢が判明する見通し。
投票率が50%に達しなければ国民投票は成立しないが、国会議員選挙と同時に行われるため成立する可能性がある。リトアニアの国会議員選挙は、日本と違って60%を超すことが多い。(有権者約250万人)
筆者らは首都ビリニュス旧市街地の投票所に行った。有権者の出足は昨年6月にイタリアで行われた国民投票と同じようだ。成立に必要な50%は超えるのではないだろうか。
有権者にインタビューした―
[原発建設に賛成]
高校教師(40代)と妻(30代)
夫「(ロシアからの)エネルギーの独立と経済成長」。
「福島の事故があったが?」
「どんなものでもリスクは伴う」。
妻「電気代が安くなるとは思わないが独立が大事」
「チェルノと福島を経験して安全技術が進歩しているから大丈夫」
[反対]
石油スタンド従業員(男性・58歳)
「いかなる理由があろうとも日本も世界も脱原発の流れにある。どうしてリトアニアだけが、原発を進める必要があるのか?」
元工場労働者(男性・74歳)
「イグナリナ原発の廃炉を完全に終えてから、やるべきだ」
「ロシアからのエネルギーの独立は?」
「安い所から石油を買えばいいじゃないか」
男性の妻は「ノーモア・フクシマ」と言い残して去って行った。
投票を終えて出てくる有権者に片っ端から聞いたが、「賛成」「反対」がほぼ交互だった。原発建設の賛否は拮抗していたのである。
同時に行われた国会議員選挙の結果が原発政策に少なからぬ影響を与える。国会議員選挙(定数141)は、原発の他に雇用や外交政策なども争点となっているため、ひとすじ縄ではいかない。
国民投票に関する直近の世論調査は55対45で、原発反対派が上回る。議会関係者によれば国会議員は、賛成と反対の割合が拮抗している。
多党制(8~10政党)のリトアニアでしばらく丁々発止の連立工作が続く。仮に国民投票で原発にノーが突き付けられても、原発政策の行方が決まるには、もう少し時間がかかりそうだ。
《文・田中龍作 / 諏訪都》
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リトアニア取材は関西の篤志家S様の多大なご支援の御蔭を持ちまして実現致しました。諏訪記者は自費で来ております。