
スマホから得られるネット情報は、真偽を確かめるのが厄介だ。デマは猛スピードで拡散される。=11日、都内 撮影:田中龍作=
スマホを使えばパートナーさえ見つかる。銀行の決済、家電のリモート操作、電車の予約、生鮮食料品の注文・・・もはやスマホは日常生活になくてはならないツールだ。必需品でさえある。
生活習慣でスマホ依存は極度に高まり、スマホからの情報は真偽を疑うことなく鵜呑みにしてしまいがちだ。
愛知県ではスマホの使用時間を条例で規制しようという自治体まで現れた。
友人は「事実よりスマホ(情報を重んずる風潮がある)」と警鐘を鳴らす。友人はどんなジャーナリストよりも早く現場に飛び、現実を確かめる。
ウクライナ情勢でいえばマイダンに市民が集まり始めた頃からキーウに飛んでいた。2013年12月のことだ。
国民と約束したEU加盟をホゴにしたヤヌコビッチ政権に怒った市民がマイダンに集まり始めていたのだ。親露派の御仁たちが言うようなクーデターではないのだ。
政権の治安部隊は最後まで、抗議の市民を射殺していた。どうしてこれがクーデターになるのか。
「ロシア支持」とか「ウクライナEU支持」とか関係ない。あくまでも事実の問題なのだ。

スマホでバラ撒かれたロシアのプロパガンダは、侵略戦争さえも正当化した。泣くのは無辜の民衆だ。=2022年、ウクライナ 撮影:田中龍作=
スマホはネット情報の塊である。スマホが日常生活の必需品となった今、プロパガンダは容易になった。
ウクライナ情勢のみならず、兵庫県知事選、参院選挙でもスマホを通してのプロパガンダは効を奏した。
「パワハラはなかった」と信じている斎藤候補(知事)の支持者に情報源を聞くと「ネット」と答えた。
参院選挙で流布された「在日特権」は、特定政党の街宣がネットで広まった。在日特権などありもしないことは、厚労省が宣言している。
「事実よりスマホ」が定着するようになれば、社会秩序は崩壊する。
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