原発を止めるのに右も左もない。イデオロギーは糞くらえだ。街宣車右翼とは一線を画す民族派新右翼が16日、経産省に「(脱原発)テントの撤去を慎むよう」要請した。
要請行動を起こしたのは「統一戦線義勇軍・中央委員会」。同会は東電福島第一原発の事故発生以来「麗しき山河と子供たちの命を守れ」と訴えて『脱原発デモ』などを展開している。公安の手先となって左翼運動を潰すことしか能のない街宣車右翼とは趣を180度異にする。
原子力ムラの総本山である経産省を訪れた義勇軍の一行は、大臣官房広報室の中野大樹係長に面会し、枝野幸男大臣あての要請書を手渡した――
「テントは既に国民の声を政治、行政に伝える場として存在している。平時は不法占拠となるが、原発事故の完全な終焉までは非常時である」として「国民に与えられた緊急避難の権利に準拠して撤去作業を慎んで頂きたい」などとする内容だ。
統一戦線義勇軍の針谷大輔議長は「福島から一般の人が来て(テントでの座り込みを)やってますから、その思いを受け止めてほしい」と付け加えた。
【 赤軍派の塩見元議長と対談「塩を送りに来た」 】
一行は、「原発止めろ」を合言葉に市民が座り込みを続ける「脱原発テント」を訪れた。テントでは赤軍派元議長の塩見孝也氏らが迎えた。塩見氏は1970年代「世界同時革命」を標榜し、「よど号乗っ取り」の作戦を練った伝説中の人物だ。左翼の大御所である。
針谷議長は「原発事故に際しては右も左も関係なくやらないと上手くいかない。イデオロギー対立になって喜ぶのは権力だけです」と切り出し、「私たちは(テントに)塩を送りに来たつもりでいる」と続けた。
一方で「原発以外のことは言わないでほしい。原発以外(のイデオロギーで)街宣をすると一般の人から嫌われてしまう」と釘を刺すことも忘れなかった。
塩見元議長も応じた。「我々と主張が違うけど、良い文章(経産省への要請文)を出してもらった。これからできるだけ理解しあいましょう。あなた方の運動は我々にとって心強い。今後よろしく」。
政府、電力業界、マスコミは30~40年もの間、“脱・反原発は左翼はじめ一部の偏った人たちのイデオロギー”と刷り込んできた。だが今回の事故で、脱原発は“生活と命を守るため”に人として掲げる当然の声だ、ということが明らかになった。左右の垣根がなくなれば、脱原発はさらに国民の間に広がるようになるだろう。