経産省と丸の内警察署は14日朝、「脱原発」を訴えて市民が座り込みを続ける同省前テントの排除にかかったが、市民側の抵抗で断念した。
午前9時半、役所の始業とともに経産省の職員6人がやってきた。全員マスクをしている。一瞬、放射能防護マスクと見間違えた。もしそうだったら、ブラックユーモアだ。
経産省は12日、「脱原発テント」の回りに鎖を張ったが、座り込みの市民が鎖を地面に降ろしていた。14日朝、職員は再び鎖を張り巡らしワイヤーで固定した。さらに鎖の上に黒と黄色のポールまで置いた。まるで工事現場の様相である。
“工事”の準備が整うと、経産省側は撤去を始めようとした。10人余りの私服刑事が見守るなか、座り込みの市民に「どいて下さい、ここは国有地ですから」と通告。
テントの入り口には60代の女性2人が座り込んだ。私服刑事と経産省の班長が退去を求めたが、1人の女性が「天皇陛下としか話さない」と言い拒否した。
事態を憂慮し駆け付けた人たちから「帰れコール」が起きる。座り込みの市民と経産省職員、警察との押し問答が続いた。
体を張った市民の抵抗の前に、経産省側は、14日午前の排除は諦めざるを得ない状況となった。とりあえずは引き揚げた格好だ。予断を許さない。