統一教会が言論人を名誉毀損で訴えることは、枚挙に暇がないほどある。ところが・・・
きょう、言論人が統一教会を相手どって損害賠償の訴えを東京地裁に起こした。原告・弁護団によれば日本で初めてのケースだ。
原告はジャーナリストの有田芳生氏。
被告は▼統一教会▼同教会代表役員の田中富廣氏▼顧問弁護士の福本修也氏。
訴状などによると有田氏は2022年8月19日、日本テレビ系の番組『スッキリ』で次のようにコメントした―
「自民党の萩生田光一議員が教団と深い関係にあった。霊感商法などの反社会的行為を行ってきた組織とは関係を断たなければならない」。
時間にしてわずか8秒のコメントで、有田氏と日テレは同年10月、統一教会から訴えられた。内容は名誉を毀損されたため▼損害賠償2200万円を支払え▼日テレは番組で、有田はツイッターで謝罪せよ、というものだ。
一審判決(東京地裁・24年3月)、は統一教会の訴えを全て棄却した。
だが、有田氏は裁判に備えて膨大な時間と労力を割いた。精神的にも重い負担となった。有田氏はこれらによる損害賠償を求めて、きょう(23日)、東京地裁に提訴した。統一教会への反撃訴訟である。
有田氏に対する統一教会の訴えはSLAPPと呼ばれる。勝訴する見込みはないのに相手に負担を強いる。訴えられた側の精神的、経済的苦痛は大きい。
ジャーナリストに対しては言論を萎縮させる効果を生む。こちらが真の狙いだ。有田氏は2022年に統一教会に訴えられると、テレビの仕事がめっきり減った。「有田をゲストに呼ぶとメンドクサイことになるから」とテレビ局側に自己規制が働いたのである。
有田氏の訴えはこうしたSLAPPに対する反撃である。米国には幾つかの州で「カウンターSLAPP法」があるが、日本にはない。SLAPP天国となっている有様だ。法の整備を急ぐ必要がある。
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