兵庫県民ヲ嗤フコトナカレ 陰謀論にコロっと騙される日本人

「さいとう推し」のお兄さん達は屈強だった。=15日、姫路市 撮影:田中龍作=

パワハラ疑惑などで失職した斎藤元彦前知事を再選させた兵庫県民を揶揄する言説でネット空間は一杯だ。

斎藤候補、立花候補の街宣現場にいた聴衆は異口同音に言った。「疑惑はなかった。マスコミがウソを報道していた」と。

斎藤陣営は斎藤氏本人に掛けられていた公益通報者保護法違反の疑いを、不倫問題とすり替え、人々をコロっと騙したのである。

兵庫県職員へのアンケートで「パワハラを実際に目撃した」との回答は140件、「実際に目撃した人から聞いた」は800件、「人伝てに聞いた」は1911件。合わせると2851件にものぼる。(時事通信より)

田中はボランティアスタッフ(女性)に「県職員はパワハラがあったと証言してますよねえ?」と聞いたが、彼女は「斎藤さんは改革派だったから職員の反発を買ってたんですよ」と答えるのだった。

彼女が「調べれば調べるほど疑惑がウソだと分かった」と話すので、田中が「情報源は何ですか?」と聞くと、彼女は「ネットです」と答えるのだった。

それはウクライナ戦争に対する認識と同じであることが分かり、愕然とした。

斎藤支持者は「人が死んだのは不倫がバレそうになったから」と吹聴するネット情報を信じ込んだ。=15日、姫路市 撮影:田中龍作=

田中をはじめ世界各国のジャーナリストが現場で見聞きした事実よりも、多くの日本人はネットの言説を信じた。中にはネットメディアの媒体名まであげて「●●●を読んですべて分かった」と得心する人もいた。

●●●の社員から直接聞いた話だが、「ネット上の陰謀論サイトから面白そうな記事を見つけてきて翻訳ソフトに掛けて記事にしているだけ」なのだそうだ。

ウクライナ戦争は2014年3月から始まっていて、田中はその時から現地取材をしてきた。今次(2022年2月開戦)の戦争でも開戦前から現地取材を続けてきた。

ウクライナで現場を取材した世界各国のジャーナリストの記事や写真は、兵庫県職員のアンケート証言と同じである。

例えば、ロシア軍による虐殺はあったとする事実は、その一点において同じでも、ジャーナリストが100人いたら100通りの具体的で自然な描写があった。田中はブチャに幾度も幾度も足を運び、住民や神父の証言を記録した。話は生々しく、しかも整合性があった。

ところがネットメディアが放つウクライナ軍の自作自演説は、大筋においてわずか数通りの話しかなく、しかも不自然だった。そりゃそうだ。陰謀論サイトがネタ元なのだから。

ナイーブな日本人は陰謀論を信じ込みやすい。一朝事あった場合、内乱を起こすのは簡単だ。

自らの手でマスグレーブを掘ったアンドレイ神父。=2022年4月、ウクライナ・ブチャ 撮影:田中龍作=

~終わり~

 ◇
レバノン取材の大借金を抱えたまま、無謀にも兵庫県知事選挙に来ました。

御支援何とぞ御願い申し上げます。

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

ジャーナリズム